昔は青銅などの金属の板をを磨いて鏡にしていました。それらの鏡の中には、鏡の面に太陽の光を当てて、反射光を映し出すと、その光の中に、鏡の裏面に作られた仏像やお経の文字などが、明るく映し出される、不思議な鏡がありました。これらは、鏡を神として信仰した中国や日本で作られ、日本では江戸時代から見られます。
この鏡は、光の中に浮かび上がらせたい像を凸として残し、反対側をぴかぴかに磨くことで得ることができます。像を造るには、金属を溶かして型に流し込む鋳造や、掘っていく方法、像の周囲を溶かす方法などがありますが、ここでは手軽に安全に作ることができる、鏡の裏に型紙を貼り付けて磨く方法を開発しました。
【原理】 裏側に紙を貼ると、その厚みに応じて、表から押さえると、厚い像の部分が凸になって出てきます。この部分が削られるため、鏡の表の特に境界部分は少し凹面に曲がり、太陽の光を集めて明るい像を映し出します。このように、板の厚さの違いが光で分かるため、半導体の表面仕上げの検査にも使われています。
●実験のしかたとコツ
【材料】 洋銀板（厚さ1.5mm）、サンドペーパー（400番、800番、1500番）、かまぼこ板、金属磨き、西洋紙、木またはプラスチックの板、セロハンテープ、はさみ、のり
【方法】
① 西洋紙にペンで像や文字を描き、はさみで切り抜きます。
② これを洋銀板にのりで貼り付けます。
③ 貼り付けた反対側を、かまぼこ板に巻いたサンドペーパーで体重をかけながら強く磨きます。数回こするとかすかに像を浮かんでくるのが分かります。
④ サンドペーパーの目を細かくしていき、前のサンドペーパーの傷がなくなるまで磨きます。最後に金属みがきで鏡面に仕上げます。
このとき、裏面にゴミが付着したり、折れ曲がったりしないようにしましょう。
⑤ 平らな木の板やプラスチック板に、周囲をセロハンテープで止めて貼り付けます。
⑥ 太陽の光を鏡面に当て、白い紙に反射光を映し出してみよう。 太陽の光の替わりに、数100Wの白色ランプが使用できます。
製作時には、金属の端で手を切らないようにしよう。
