びゅんびゅんガエル


○こんな実験です
京都など各地の土産店で,日本では蝉の声を出す民芸おもちゃとして売られていますが,インドではヒンズー語でマンドゥック(蛙)として古くから知られています。ここでは振り回して遊ぶ際に,人にあたっても安全なミニ紙コップを使った簡単な製作方法を紹介します。

○こんなことが学べます 
振動で音が発生し,その音を大きくする楽器の簡単な原理が学べます。

渋谷の東急ハンズで製作キットとして売られているマンドゥック
○準備しよう 
竹ばし,凧糸40cm,ミニ紙コップ,松ヤニ,丸やすり(細いもの),半田ごて(またはペットボトルカッター),押しピン

○入手先 ミニ紙コップ:ホームセンター
松ヤニ:教材店,楽器店,松の幹の樹液を集めてもいいです。枝をきるとすぐ樹液がでてくるので,これを塗ると簡単です(自分の家の松以外は枝を切ってはいけません)。
○こんな仕組みです 
おもりを先につけた糸を輪にし,棒を通してぐるぐる回しても音は聞こえません。音は空気の振動ですが,その振動の元になるのは,糸と棒の摩擦です。松ヤニは,摩擦を大きくして糸の表面のぎざぎざと,棒に塗られた松ヤニとで細かな振動を作ります。バイオリンなどの弓にも松ヤニは使われています。しかし,これだけでは音は大きくなりません。インドのマンドゥックにはヤギの皮がはってあり,太鼓のような形のものを振り回します。この太鼓の皮が広い空間に,糸から伝わった振動を効率よく放出し,大きな音にします。まさに弦楽器の原理です。太鼓の部分を固定して,棒を回しながら糸の張り方を変えると,音が変わるという演奏にも使われます。紙コップはこの太鼓の役目をします。

竹はしの太い側の首の部分を均等に円柱状にけずってくびれを作る
○作ってみよう
@ 竹ばしを割り,丸やすりを使って太い側の根元を一様な太さに丸くけずります。
A けずった部分に,半田ごてなどで溶かした松ヤニを塗ります。
B ミニ紙コップの中央に押しピンなどで穴を開け,凧糸を通して玉結びで抜け落ちないようにします。
C 凧糸の反対側を直径1cm程度の輪にし,竹ばしに通して完成です。
 
○製作の注意
半田ごてより,先が平たい刃になったペットボトルカッターは,松ヤニをのせて溶かすのに適しています。写真3はペットボトルカッターです。

ペットボトル用カッターで松ヤニを溶かして塗る
○遊び方 
竹ばしに作った首の部分に糸をかけ,びゅんびゅん振り回します。かえるの鳴き声が聞こえてきませんか。早くまわしたり,ゆっくりまわしたりして,音の変化を楽しみましょう。

○こんなこともできるよ
@ミニ紙コップに,かえるの絵を描いたり手足をつけると,楽しい工作になります。
Aミニ紙コップのかわりに,フィルムケースが使えます。

完成図
○気をつけてね
@半田ごてなどを使うときは,やけどしないように注意しましょう。
A他の人が近くにいるときは振り回さないようにしましょう。

○開発にあたって
京都の土産店でセミの玩具を買ったときは,どうして音が出るのか不思議でした。摩擦部分に松ヤニが塗ってあるのに気づき,これは弦楽器そのものだと思いました。台所にある身近な材料で,しかも安全なものに仕上げてみました。また,渋谷の東急ハンズでマンドゥックのキットが売られています。これも作ると楽しいです。