角度が変わる万華鏡


○こんな実験です
万華鏡と言えば,3枚の鏡を正三角形に張り合わせたものが多いですが,ここでは加工しやすいアクリル鏡を2枚使い,0°〜90°まで自由に2枚の鏡の角度が変わる万華鏡を作ります。

○こんなことが学べます 
2枚の鏡の間の角度によって,見える図形の対称性が変化することが分かります。90°だと4回対称,60°だと6回対称のように角度と対称性を体験しながら学習できます。

○こんな仕組みです 
一般的な正三角形状に組み合わされた万華鏡では,6回対称の図形が得られることを,子供のときから体験している人は多いでしょう。このときの鏡の角度は60°です。
今,1枚の平面鏡を観察する図形の上に置くと,左右対称な図形が観察できます。これが2回の対称です。2枚の鏡があるとすると,2枚の鏡が直線上につながったと考えられるので,2枚の鏡の間の角度は180°です。
では,3回対称の図形を選るには,2枚の鏡の角度は何度にすればいいのでしょうか。これは万華鏡をのぞいていると自然と理解できます。万華鏡の覗き窓は多角形で埋め尽くされています。中心角はもちろん360°ですね。180°で2回対称,60°で6回対称,90°で4回対称なら,3回対称は120°になります。

○準備しよう 
アクリル鏡(3cm×11cm)2枚,トイレットペーパーの芯(直径4cm長さ11cm),厚紙,マッチ棒,黒画用紙,筆ペン,のり,接着剤(セメダインC),はさみ,カッターナイフ,アクリルカッター,定規,分度器

○入手先
アクリルガラス:東急ハンズ,ホームセンター
○作ってみよう
@ アクリル鏡をアクリルカッターで2枚切り取ります。
A アクリル鏡の裏から同じ大きさの厚紙をはり,2枚の鏡の角度が変えられるようにします。
B トイレットペーパーの芯の中に定規を入れ,断面が円の1/4になるように,その中心角が90°になるように折れ目を付けます。また,内部を筆ペン等で黒く塗ります。
C Bで折り曲げた芯の円周部分を,マッチの軸が動くように穴を開け,Aの鏡を入れて,マッチ棒の軸が鏡の角度を変えるときのつまみになるように,接着剤で鏡の中央にはり付けます。
D マッチの軸が動く穴から光りが入らないように,黒画用紙で帯をつくります。この帯はマッチ棒といっしょに回転するように,マッチ棒の穴を開けておきます。
E 筒の片側はのぞき窓を開けた厚紙のふたをします。また,反対側(図に直接接触する側)は厚紙で補強します。

○製作の注意
@ アクリルカッターを用いて,鏡に曲げが生じないように切り取りましょう。
A 黒画用紙の帯は,回転しやすいように,あまりきつくしないようにしましょう。
定規で1/4円を作る
圧縮した矢じり
○遊び方 
光が入ってくるように,半透明の板(ここではビデオカセットの外箱を利用)に直線を数本引き,この万華鏡でのぞきます。分かりやすい対称の図形が見えたときに,分度器で鏡の角度を測りましょう。

○こんなこともできるよ 
いろんな色のビーズ玉などを散らばせて万華鏡で見るときれいです。テレビや液晶画面をのぞくのもおもしろいです。
4回対称 5回対称 8回対称
12回対称
○開発にあたって
昔から美しい科学おもちゃとして,万華鏡は人気があります。最近はオイルの中に色とりどりのいろんな小さな飾りを入れて,時間とともにどんどん変化する図形を楽しむものも売られています。また,コンピュータの壁紙などにカレイドスコープ(万華鏡)の計算して描かれた模様が用いられることもあります。
私は対称性の学習に,2枚の鏡で作る万華鏡が有効だと考え,対称性の学習を目的とした万華鏡を作ってみようと考え,試行錯誤を繰り返して作ってみました。