ポインティングベクトル

○こんな実験です
IH調理器や電線をつながずに離れて充電するスマホの充電器等、電界と磁界が電力を運びますが、ファインマンも著書(ファインマン物理学(4)増補版)の中で「奇妙な現象」と書いています。

○こんなことが学べます
電気エネルギーの伝達は、ポインティングベクトルを描くことで分かります。
右図のような平行平板の回路では、電界E=V/d、磁界H=I/wとなります。
したがって、電力はP
  P=VI=EHwd[W]
となり、EH「W/m^2]は単位面積あたりを通過する電力になります。
また、ベクトルEからベクトルHへ右ネジの回転を行うと、右向きにこの電力が向かうことが分かります。

講義では、電池と電球を接続すると,図の上の電線から下の電線に電界が生じ、
また、電流の周りに右ねじの向きの磁界が生じます。この電界ベクトルと磁界ベクトルの外積がポインティングベクトルであり,エネルギー密度の流れになります。


「なるほどナットク 電波が分かる本」 後藤尚久、オ^ム社、p.63


ベクトルEからベクトルHへ右ネジの回転を行うと、ポインティングベクトルE×ベクトルHが右を向く


菅雄一氏の図より
https://ameblo.jp/sugachan1973/entry-12163423605.html?fbclid=IwY2xjawIWaqNleHRuA2FlbQIxMAA
BHUfuL2fYNVUzcA7C5QJbFh_KJHihrlQ7r_VTesv8IV8gBvSz1Y7L4Lwz9A_aem_gmNWdbigf7uBrYThoV8XEA
○準備しよう 
3Dプリンタで作ったベクトルE,H,E×Hを示す矢印モデル、針金、LEDや豆電球、電池


○作ってみよう
 右図のように針金で四角を作り、乾電池と豆電球を取り付ける。実際に電流を流すことはないので、モデルとして分かればよい

使い方
@ ホワイトボードや黒板の前に組み立てた回路を設置する
○開発にあたって
 学生時代ポインティングベクトルは訳わからずに学んだが、現在は実用化されていろんな場面で電力が無線で伝送されている。実は大変身近な現象なのだが、ポインティングベクトルは物理や電気を学ぶ学生しか出会わない。
 国民的素養になって欲しい内容である。


 
電磁誘導でLEDが光る安価な実験装置


松田卓也神戸大学名誉教授の学研科学選書 間違いだらけの物理学より
松田氏にはサイエンスカフェ鳥取でお話していただいた