○こんな実験です 透過軸を直交させた2枚の偏光フィルムの間にプラスチックをはさみ、プラスチックを変形させたり重ねたりして、色が変わる色偏光を楽しみます。 ○こんなことが学べます ・色偏光と複屈折 多くのプラスティック材料には複屈折性がある。複屈折には光の振動方向(偏光)によって屈折率が異なり、屈折率の大きい物質ほど光が通り抜けるのに時間がかかるという性質もある。また、偏光状態を特徴付ける位相差δは、複屈折と光が通過した距離(材料の厚さ)の積になる。 複屈折性材料を通過した後の偏光状態は色(波長または振動数)によって異なり、最後に偏光板を透過させることで光の明るさ(強度)が色によって異なる。このため偏光板を通過した後の光はカラフルに見える。 セロハンテープでは、積層枚数によって位相差が変わり、波長(色)による偏光状態が大きく異なり、光の明るさが色によって大きく変化してさまざまな色が見える。 参考:https://www.photonic-lattice.com/useful/useful-5862/ |
![]() セロハンテープを重ねた色偏光 |
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・偏光フィルムの原理 偏光フィルムは、ヨウ素の針状結晶を含んだポリビニルアルコール(PVA)を、一方向に引き延ばして作る。 引き延ばされたヨウ素の針状結晶は一方向に揃い、結晶が揃った方向の偏光を吸収する。 また、それと直交する偏光のみが透過する偏光子になる。 右図は、偏光フィルムから特定方向の直線偏光のみが出るようすであり、 透過する偏光の振動方向を透過軸と呼ぶ。 入射光は偏光方向と位相がランダムな自然光であるが、 偏光子では透過軸方向の振動成分のみが透過するため、出射偏光の強度は、入射自然光の約半分になる。 そのため、偏光フィルムは暗く見える。 参考:http://www.techno-synergy.co.jp/opt_lectures/about_ellipsometry02.html |
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○準備しよう 偏光フィルム(偏光メガネでも良い)、偏光フィルムを支える台(3Dプリンタで作製)、様々なプラスチック板やフィルム ○作ってみよう 偏光メガネや偏光板を支持台に固定する。このとき、2枚の透過軸が直交するようにする(透過光が消えて光の透過がなくなるので分かる) ○遊び方 2枚の偏光フィルムの間に、歪んだプラスチック板やフィルム、セロハンテープを貼った透明スチレン板などを挟む。 |
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![]() 厚めの塩ビシート(デスクマット等)をコの字型や円形、リング状、レール断面状などに切って、力を加えてどの部分に負担が多くかかっているか調べる(光弾性) |
![]() レジ袋や食品用ラッピングシートなど、様々なプラスチックフィルムを引き延ばしたり、破ったりして歪み部分をさぐる |
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○開発にあたって 小学校の科学クラブで短時間に手軽に利用できる工作として開発した。また、電界はアンテナ方向に吸収されるように、偏光もヨウ素の結晶の伸ばされた方向に吸収され、透過軸と直交していることを強調した。 |