5分でできる,波長が読める簡易分光器2


○こんな実験です
1mm中に1000本の溝が刻まれた回折格子を用い,印刷しやすいケント紙程度の厚紙で,少々本体がねじれても観察しやい分光器を作ります。しかも,たった5分で作成できるため,授業時間内に組み立てて測定することが可能です。

○こんなことが学べます
回折格子の原理が体験的に分かり,波長または格子定数の求め方が理解できます。様々な光を観察することで,固体と気体の光の違いや,色の異なる蛍光灯,LEDなどのスペクトルの違いを定量的に測定しながら観察できます。

レプリカ回折格子をレーザー光源装置の窓に,光線と垂直になるように貼る
○こんな仕組みです 
光源を出た光は,回折格子によって,その波長に応じて異なる角度に回折と干渉による輝点を作ります。
まず,波長の分かったレーザー光を用いて格子定数d(溝の間隔)を求めましょう。
光の波長をλ,回折角をθとすると,1次の回折光について以下の式が成り立ちます。
 dsinθ=λ
観察される光の輝点位置xは
 Ltanθ=x
これらの式より
 d=λ/sinθ=λ(L^2+x^2)^(1/2)/x
単位長さあたりの溝の本数は1/dで求まります。
この格子定数を用いて,波長目盛りは
 x=Ltanθ=λL/(d^2-λ^2)^(1/2)
を計算して作ることができます。

蛍光灯の光を回折格子フィルムを通して観測すると,色が分離するのが分かる

光源からL離れたスクリーンに,1次の回折光がx離れた位置に生じる

回折格子の原理と,単位長さ当たりのスリットの本数の計算
○準備しよう 
回折格子シート(1mmに1000本の溝のもの),型紙(A4),はさみ,カッターナイフ,両面テープ,定規

○入手先 回折格子 (株)シータスク 他教材店

○作ってみよう 
@ 型紙を実線に沿って正確に切り取る
A スリットと回折格子用の穴を,カッターナイフで開ける
B 破線に定規を当てて谷折りする
C 両面テープをのりしろ部分に接着し,箱形に組み立てる
D 両面テープで回折格子を接着する。このとき,スペクトルが横に広がる方向に貼る

○製作の注意
@ 厚紙はあまり厚くなくてもよいが,製作したときに本体がねじれないように組み立てるのがコツである
A カッターナイフを使うときはケガをしないように注意しよう
 

A4用紙印刷用 
  PDFファイル 花子ファイル

切り抜いた型紙。スリットと回折格子用の穴をカッターナイフで切り取る。

折れ目に定規を当て,ていねいに谷折りする

のりしろに牢面テープを貼る

青緑橙赤のLEDライトを分光器を通してみると,青から赤へと波長が長くなるほど,中心から離れた位置に1次の輝点が生じる
○観測の仕方  
@ 回折格子に眼をあて、スリット部分に強い光を当てて観察する
A ナトリウムランプの光を用い,1本(正確にはわずかに離れた2本)見えた部分の波長が590nmであるのを確認する。これがずれていたら,回折格子の格子常数を測定し直す
B 蛍光灯の白色や昼光色のスペクトルでは,強い輝線の位置が異なることや,色の成分の分布や強さの違いに注目する
C 色の異なる発光ダイオードやスペクトル管などの光をのぞき,スペクトルの違いを観察しよう

○気をつけてね
太陽を直接のぞかないようにしよう。た,強い光を長時間見続けないようにしよう。


回折格子側からスリットに向かってレーザー光線を入射させる

530nmの位置に1次の輝点が生じることを確認する

赤色レーザーは620nmのものを使用した

白色LEDライト(キーライト)を分光器のスリット部分に置いて撮影した様子。
CCDカメラの特性のため,中間色や紫が写りにくい。

青,緑,橙,赤のLEDをスリット部分に持ってきて撮影した写真を合成したもの。色と波長の関係が分かりやすい
○開発にあたって
目盛りの付いた簡易分光器は市販されていますが,目盛りが小さな文字で,また暗くて読みにくいという欠点を持ちます。また,生徒の代数購入することも困難です。ここでは,分光器の内部ではなく,部屋を暗くするという逆転の発想で,目盛り間隔を格子定数の小さいレプリカ回折格子を使うことで広げ,またそのために目盛りの文字を大きくすることができました。

白色蛍光灯管のスペクトル。輝線スペクトルと蛍光物質の出す光の分布を示す。

2008年11月17日石川県志賀町大浜小学校5,6年生104名

振り返って窓からの自然光を観察している様子