水力発電


○概要
クリーンなエネルギーが再認識されています。水力発電も風力発電と同じく,元は太陽エネルギーです。
ここでは蛇口から落ちてくる水のエネルギーで水車を回し,プーリーでつないだモーターを発電機として回して,得られた電気でラジオを鳴らせるという,水力発電全体の原理を見渡すことができる分かりやすいモデルを製作しました。

○こんなことが学べます
流れ落ちる水はエネルギーを持つこと,このエネルギーは水力発電装置で電気のエネルギーに変わることなどが理解できます。また,回転数を変えるのに,半径の異なるプーリーを用いるといいことが分かります。
○こんな仕組みです
水力発電は元々太陽のエネルギーを利用したクリーンな発電です。太陽の熱で海水面や地上の水蒸気が蒸発して上昇し,それが雨や雪となって山に降り,ダムのようにせき止められたりして,落差を利用した重力の位置エネルギーが水に蓄えられます。水を落として水車を回すことにより,位置エネルギーは水車の回転のエネルギーとなり,水車に連結された発電機で電気エネルギーへと変換されます。

○準備しよう
ハムスターの回転運動装置,プラスチックのスプーン(10本程度),木材,モーター(MXNI 3FB 12UD ),ラジオ,プーリー,ゴムベルト,フィルムケース,ドリル,鉄製スタンド,小型ターミナル2個,配線材(導線),はんだ,はんだごて,プラスチック用接着剤(セメダインXなど),のこぎり,木ネジ,ビニルテープ

○入手先 モーター:(株)ナショナルマイクロモーター,小型ターミナル:電気パーツ店,ハムスターの回転運動装置:ホームセンターまたはペットショップ,プーリーとゴムベルト:模型店(タミヤのプーリーセットを利用すると便利)

○作ってみよう
@スプーンの皿の部分を中央から糸鋸などで切り,平らなところに置いたサンドペーパーで切り口を平らにします。
A回転運動装置の外周に,等間隔に切り取ったスプーンをプラスチック用接着剤で貼り付けていきます。
B回したときにスプーンが床に当たらないように,木材を加工して台を底上げし,固定します。
Cモーターに水が直接かからないように,心棒用の穴(直径3mm程度)をフィルムケース底の中央にドリルで開け,ふたにはターミナルを取り付ける穴(直径2mm)を2カ所開ける。
Dふたにターミナルを固定し,はんだづけによって,モーターとターミナルの間を導線で接続する。
Eモーターをシルムケースに入れ,ふたをする。モーターがケース内で動かないように,あらかじめモーターの周囲にビニルテープなどを巻いておく。
Fモータの心棒の先にプーリーを押し込み,ゴムベルトを回転運動装置の周囲とプーリーにかける。
Gラジオの裏のふたを開け,基盤の電源のプラスとマイナス部分に導線をハンダ付けし,導線の端をターミナルに固定する。
○製作の注意
@プーリーのはりは,強すぎても弱すぎてもいけません。安定して回転し,はずれない程度に調整しましょう。
Aラジオの電源部分にハンダ付けするときは,回路の読める大人の人といっしょに行いましょう。
B鳴らないときは,まず発電機の端子のプラスとマイナスを逆にしてみてください。

○遊び方
蛇口をひねって一定の量の水を,スプーンの皿をめがけて落とします。一定の回転が得られるように調整してください。プーリーを通して発電機が回転します。ラジオの電源を入れ,その地方の一番電波の強い放送局にチューニングを合わせます。チューニング中にガリガリ聞こえるのは,発電機から出る電波です。

○こんなこともできるよ
@一定の流れがある水路でも利用できます。近くに水路がある人は実験してみてください。
A水車の本体は,元々ハムスターの運動装置です。これは前々から使ってみようと思っていましたが,ハムスターをこの中に入れると,ハムスター発電ができると思います。
Bラジオの代わりに発光ダイオードと点灯して夜間の装飾に使うこともできます。この装置では,発光ダイオードを直列に4個まで点灯させることができます。
○気をつけてね
人のいない方へ向けて投げましょう。車の通る道路や,狭い室内では飛ばさないようにしましょう。

○開発にあたって
2002年4月27日の敦賀原子力センターで開催された科学教室で,水力発電装置を作って欲しいと依頼があり,子供達でも作れる分かりやすいものをと考えて開発しました。

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