シベリウス
SONNET Op.94 No.3 1919
シベリウスの音楽は具体的なものから普遍的なものに向かいます。
その普遍的なものの中にフィンランドの自然の中にある彼の家(アイノラ)
と、ピアノ前に腰かける彼の姿を想像する事が出来ます。少なくとも、「まず
初めに神ありき」という音楽ではありません。
舘野泉さんはこんな事を書いておられます。
「音楽は言葉で説明するよりは実際に演奏するほうがずっとやさしいし、
言葉というものが音楽を実際より狭い世界に限定してしまう危険が強いか
からだ。人間の心の海は思ったより広いもので、自分でも知らない、分か
らないものが限りなくある。その海に向かって自由な立場で心を開いて・・・」
この曲では秋の空に舞う鳥の群を容易に想像することが出来ます。
舘野泉さんは、やはりうまいことを言います。「1〜8小節までにみられるよ
うに旋律線は高いところから始まって次第に低く下がっていく形をとっており
それがこの曲全体のイデアになっている」
「自分の心がエーテルのように透明になり、どことも知れぬ高いところへと
去っていってしまうようなたよりなさがある」
さて、この曲も私は今まで一度も聴いたことのない曲でした。
なんだか、ほんとうにとりとめない、様になってない演奏のような気がします。
無表情に、ご詠歌のようになっているでしようかね。