12月28日


〜列車で行くデカン高原〜


 4時起床。6時の列車で、オーランガバードへ移動。こんな時間なのに、街はもう目覚め動き出している。駅の周辺やホームには、布一枚かぶって寝転がっている人もいる。
 列車はなんの予告もなく、いきなり走りだす。しばらくすると、窓の外が黄金色に染まる。夜明けだ。悠久の大地、インドの夜明け。空も大地も一つ色に染まる。この色を心に刻もう!・・・などと、感動に酔っていたら、なんと二重窓の汚れからくるものと、判明。それでも、一月に二回くらいは、洗っているとか?
私たちに用意された車両は、冷房車。おそらくツーリスト向けだろう。前の車両は、2等車。窓ガラスなし。ヒンズーの神様の写真が飾ってある。列車のスピードがそまま伝わってくるような快適な風が吹き抜けている。いごこちがいいので、しばらくこの車両にいる。
見えるのは、広大なデカン高原。あっけらかんとした景色。

「チャイ、チャイ」チャイを売りに来る。一杯4ルピー。(後で判るのだが、バザールのチャイの倍の値段)お菓子も売りに来る。サモサも売りに来る。列車の中はにぎやか。列車には案内のアナウンスなどいっさいない。いったい、どこの駅にいるのやら、どこを走っているのやら、全くわからない。停車駅と時刻が見たければ、駅に止まったときに降りて、車両の外に貼ってある、紙を見る。

 当初の予定を3時間以上も過ぎて、マンマードの駅に到着。まわりの風景は、もう完全に異国。ここに来て、インドを実感してしまった。

   列車の遅れのため、旅の日程も変更。一度ホテルに入ってから、オーランガバード石窟群へ。ホテルは、昨年オープンしたタージレジデンシーホテル。オーランガバード石窟群で、一眼レフの調子がおかしくなる。げげっ、こんな異国で故障なんてやばい。あとの写真はどぉするんだぁ。いろんな思いが駆けめぐる。

 ビービー・カマクラバーへ。ここは、タージマハルを模して作った、廟。タージマハルは、すべてが大理石だが、ビービー・カマクラバーは、棺の置いてある床だけが大理石であとは、漆喰。だが、その愛らしさは、けっして劣らない。
棺のまわりをめぐりながら「眠る王妃よ。こんな異国で貴方と私が出会ったのも、なにかの縁。できたら、カメラの調子なおしてね。」などと、思ってみる。なんと都合のよい観光客だ。

   ホテルに戻って、なんとかならんものかといじっていると、突然カメラの調子がもどる。やった!ラッキー!これも、王妃の慈悲??もちろん、感謝の気持ちを忘れずに。
夜は、バスでジュナバザールへ。ここは、オーランガバードでも、古くからある大きなバザール。
 お目当てはパンジャビースーツ。何軒もの店が軒を並べている。露天もある。ちょうど日本の夜店の感じ。あっちの店で値踏み。こっちの店で値踏み。とにかくちょっとでも安いものを買おうと、慣れない英語で交渉する。あらかじめ値札をつけている店もあるけど、ほとんどが店の人に聞かないと値段がはっきりしない。インドの女性とそう体格はかわらないと思っていたが、レディーメイドは、やはり身体に合わない。けっきょく、ジュニアサイズの中に手頃なものを見つけて、購入。

   女の子ばかりで買い物に熱中していると「JAPANESE MONEYを持っているか。JAPANESE MONEYをくれ。」といい寄ってくるものがいる。かなりしつこくつきまとってくる。なんだかやばい。相手にしないようにして、立ち去る。

「インドに来たらチャイよね。」と喫茶店を経営しているHさんは、さっそくに街の茶店を見つける。一緒について行く。チャイは、濃く入れたミルクティーのようなものだ。茶店といっても、玄関先に、古びたベンチが二つばかりならべてあるだけ。近所のお得意さんたちで、ベンチはいっぱいになってしまう。チャイを作っている老主人と、注文をとる少年がひとり。少年がお水を出そうとすると、主人がそれをとめる。彼らが普段飲んでいる水を、観光客の私たちが飲むとどうなるか・・・。主人も心得ておられるらしい。日本人を珍しがってか、代金はいらないという少年。それではこちらも困ると押し問答。ごうを煮やして主人が、2ルピーを請求。街のチャイはほんのりジンジャーの香がする。甘さもほどよく、暑い国なのに、その熱さが心地よい。すっかり虜になってしまった。





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