バケン山で捜索隊?

                  

プノン・バケンから見るアンコール・ワット

                                                          「プノン・バケンに行きましょう。夕陽がとても綺麗です。」とガイドさんに勧められ、アンコールトムの南大門側にあるバケン山に登る。もともとそういう山なのか、それとも、何万人もの人が登るからなのか、草木一本なく、土肌が見えている急勾配を這うようにして登っていく。雨がふったら、一面ぬかるんで、ズルズル・・・ときそうなそんな斜面だ。登りつめるとテラス状の広場があって、その奥にピラミッド式の遺跡がある。遺跡に登ると、わっ!人、ひと、ヒト・・・まるで御来光を待つどこかの山の山頂のようだ。いろんな国の言葉が聞こえる。世界各地からこ〜んなにたくさん観光に来ているんだぁ。さぁて、記念すべき夕陽の一枚が撮れるかな?人をかき分けかき分け、遺跡の端っこまで出ていってカメラを構える。〜あとでわかったのだが、このとき、すでに私はみんなとは別方向へどんどん歩いていったらしい。〜

                            

                                 眼下一面に広がるジャングル。シェムリアップの町も見える。日はしだいに傾いてくる。シャッターチャンスまでもう少し、もう少し・・・・レンズの中の夕陽と見つめ合っている私の耳に、「タナカせんせい!いらっしゃいましたか!よかった、よかった。」とガイドさんの声。そして、「あ〜、ほらやっぱり、AKEちゃんったら。カメラ持ったらもうどこに行ってしまうんだかわからりゃしない。カンボジアで日本人観光客行方不明・・・ってなことになるところだったんだよぉ。みんなとっくに下山してるからね。」と仲間に笑われる。

 

                   

 知らぬ間にたいへんなことになっていたらしい。「え〜、だって、夕陽が沈むのを見るんじゃなかったのぉ?」「あのね、夕陽が沈むと、あたりどぉなる?真っ暗でしょ。真っ暗な中、あの斜面を降りるのは危険なの。日が沈むまでに下山しなくちゃ、やばいでしょ。わかったぁ?」そ、そ〜ね。ここはカンボジア。日本の観光地のような整備された遊歩道もなく、ましてや外灯なんてものはありはしないのだ。かくしてバケン山で行方不明になっていたAKEさんは、捜索隊によって無事発見されたのでありました。

 みんな、ごめんねぇ!!