燃えろ火の玉


○概要
火の玉は人魂(ひとだま)とも言われ、土葬の人の燐が燃えているとか,亡くなった人の霊がさまよっているとか言われています。今では科学のメスが入れられ,放電現象による発光などが考えられています。また,電子レンジを用いて炭素繊維を加熱し,火の玉を作る理科実験も行われるようになりました。
ここでは安全で手軽な,蓄光繊維を用いた火の玉の作り方を開発しました。


○こんなことが学べます
蓄光材は,光を当てるとそのエネルギーを吸収して,長時間光り続けることが分かります。また加熱によって熱エネルギーを与えても光ります。電気の設備ない場所でも,夜間に文字や図を光らせて示すことができるため,省エネにも貢献します。


○こんな仕組みです
蓄光顔料は,紫外線に近い波長をあてることによって蓄光し,暗いところに持っていくと発光します。したがって,白熱電球ではなく,太陽光線や蛍光灯の光が適しています。紫外線などで蓄光物質の電子をエネルギーの高い状態へ一時的に移し,そこから低い状態へ電子が落ちるとき,光が放出されます。蓄光は,光をゆっくり放出する物質でできています。にここで使ったGLLタイプは,2,3分光を当てるだけで6時間発光が持続します。
暗闇で動かした様子
○準備しよう
蓄光繊維セルラン(青または緑GLLタイプ20m)または蓄光タイプの自由樹脂(100g),ナイロンてぐす(透明1m),竹ひご(1m),はさみ,油性ペン(黒),軍手,ガスコンロまたはアルコールランプ

○入手先 
セルラン蓄光繊維: (株)シータスク  糸の長さ:1巻き20m,説明書つき,480円(「作る科学の本」読者割引 360円)
自由樹脂:東急ハンズ
紙筒に巻かれた蓄光繊維 20mを丸める
○作ってみよう
@蓄光繊維を20mの長さに切り,てのひらでもんで丸めます。
Aガスコンロを弱火にし,軍手で繊維の玉の位置を変えながら,外側を解かして繊維どうしくっつけます。
Bナイロンテグスの一端を繊維の玉に結びつけ,他端を黒く塗った竹ひごの先に結びつけます。

○製作の注意
自由樹脂を使うときは,は60°Cで柔らかくなるので,お湯にいれて溶かし,割り箸で糸を引かせて引き上げ,巻きながら玉にします。
加熱して外側を癒着させる 自由樹脂を使うときはお湯から引き上げて巻き付ける

○遊び方
@蛍光灯の光を数秒間当てます。
A竹ひごの端を持ち,暗いところでゆらします。


○こんなこともできるよ
@加熱すると光ります。手でにぎったところも弱く光るので観察してみよう。
Aこの繊維は暗いところで作業する人の安全のために,服に縫い込まれたりします。皆さんもいろんなアイデアを考えてください。おもしろいアイデアを思いついた人は,私までメールをください。

○気をつけてね
@恐がりの人がいるときは,この火の玉で遊んではいけません。
Aガスコンロなど火を使うときは,大人の人といっしょに実験しましょう。また,軍手をはめて,やけどしないように気を付けましょう。

左は緑,右は青の蓄光繊維の玉 部屋を暗くすると,それぞれの色で発光する
○開発にあたって
私が子供の時は小学校のそばに墓場があり,よく火の玉を見たという話を聞きました。科学の時代になり子供達の頭の中に,火の玉は存在しなくなりました。火の玉は不思議な現象の1つです。火を使わない安全なもので,しかもよく光るものをということで,蓄光材の利用を考え,東急ハンズで購入した蓄光材入りの自由樹脂を使ってみました。綿状のものがあればそのまま丸めて使えるので,(株)シータスクの黒澤氏に問い合わせたところ,蓄光繊維セルランを教えていただきました。また,製作している段階において,加熱すると発光することを発見しました(平成14年4月)
竹ひごの先のテグスに付ける 加熱すると発光する。温度が高いほど明るくなる

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