●どんな実験なの
立体映像を見るための偏光板を使ったメガネを利用して、箱の中にみかけ上の黒い壁を作り出します。箱の両側に開けた穴から指やペンを突っ込んでみても、この壁からは全く力を受けません。また、この穴から向こう側の穴をのぞいてみると、壁は全く見えません。
●実験のしかたとコツ
【偏光板の実験@】
この壁は光の「偏光」という性質を利用しています。この偏光板のメガネをかけて、同じくこのメガネをかけた人を見ると、その人の片方の目は見えるのに、片方の目はサングラスをかけているように見えなくなっているのが分かります。
【偏光板の実験A】
太陽から出る光は、自然光として地球に降り注ぎます。この光はあらゆる方向に振動した電磁波です。偏光板はこの光のうち、一方向の振動のみ通すという性質があります。したがって、左右2枚の偏光板は、互いに直交させると光を通さなくなるのです。2枚目の写真は空の雲を背景に、1枚の偏光板でのぞいたものです。偏光板を回してみると、ある方向では雲が暗くなります。雲による太陽光の反射光は偏光しているのが分かります。同じように屋根瓦や水面で反射した光を見てみましょう。釣り用のサングラスがなぜ偏光板でできているのか考えてみましょう。
ミツバチは、上空の大気で散乱された光の偏光を感知しているそうです。
【偏光板の実験B】
2枚の偏光板を、互いにいろんな角度になるように回して実験してみましょう。これらの2枚の偏光板を通る光の強さが変化するのが分かります。直交させて真っ暗になったとき、間にセロハンを入れてみましょう。セロハンテープでもいいです。セロハンは光の振動面を回転させる性質があるため、明るさが変化します。色付いてもいますね、セロハンを重ねていろんな色をつけてみましょう。また、間に塩化ビニルやアクリルの板やシートを入れて、破ったり曲げたりすると、力が加わって分子のつながりが変形しているところは、明るさや色がかわるので、力の加わり方を調べることができます。これを「光弾性」といって、力を光に変えて見えるようにした工夫です。
【箱の作り方】
箱の展開図を示すます。メガネの左右の偏光板を図のように切り取り、箱を組み立てて、その外側に向きを間違えないように貼り付けます。
● 考えてみよう
右図のように変形した壁を作るにはどうしたらいいのでしょうか。考えてみましょう。また、自分でいろいろな形の壁を作ってみましょう。
● ここで用いた偏光メガネは、兵庫県の淡路島側の鳴門大橋入り口に位置する「うずしお科学館」のご好意で分けていただきました。あらためて感謝の意を表します。
●気をつけよう
車を運転する人は、この偏光メガネをかけてはいけません。