航空機内の圧力
機内の圧力は809hPaまで下がった |
鳥取-羽田間を飛ぶANA便は,1万メートルの高さを飛ぶため,外部の空気はエベレスト山以上に希薄になっている。機体の安全性のためには,外部の気圧と内部の気圧が同じことが望ましいが,それでは人は酸欠になってしまう。このため,航空機はエンジンの動力を用いて外部の希薄な空気を圧縮し,機内の圧力を上げ(与圧という),いつも新鮮な外部の空気を取り込んでいる。この外部と内部の圧力差に抗しうるため,機体は断面を円形にして圧力に強い形にしている。しかし,地上と同じ1気圧のままだと,外部との圧力差が大きすぎて,機体の強度を増やすために頑丈な機体が必要になり,機体が重くなってしまう。そこで,機内の圧力は地上より低く保たれている。航空機が飛び立つと耳が痛くなる。ときどき鼻の穴をつまんで,鼻腔と内耳をつなぐエウスタキオ管に空気を送り込み,外耳と内耳の圧力差をなくす必要がある。最も簡単な方法はあくびをすることである。 さて,実際にはどれだけ機内の圧力は地上より下げてあるのだろうか。酸欠で気分が悪くなるほど下げるわけにはいかない。 ここではCASI0の方位・高度・気圧・温度計測機能付きの腕時計2272*JAを使って測定した結果を示す。 機体はANAの鳥取-羽田便で,14時頃(2006年11月2日)に撮影した。 機内の気圧は上空に行くほど少しずつ下げていくかと思ったが,ある高さまでは1気圧を保ち,その後減圧が始まって,地上より約2割下がって最小値809hPa(ヘクトパスカル)を長時間示していた。 また,この腕時計では,高度は気圧をもとに計算するため,高度表示は1855mと実際よりはるかに小さい値だった。機内放送では3300ftまで上がると行っていたので,実際は約1万メートルの高さを飛んでいる。 雲の下は雨だったのだろう,厚い雲が眼科に広がっていた。こんな日はブロッケンの虹が見える。中央の黒い影は機影である。私は前から4列目(シートNo.5E)の窓際にいたので,ブロッケンの円形の虹の中心は機体前部になっているのが分かる。 |
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高度は1855mと出たが,実際は3300ftで約1万メートル。この違いは圧力で読んでいるためだろう |
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この日(2006.11.2)見えたブロッケン現象。名古屋上空付近 |