カレイドフォン(kaleidphone)の復元


○こんな実験です
ホイートストンが考案し,その後改良されたカレイドフォン。鋼鉄製の針金を弾いてやると,先端ガリサージュ図形を描きます。これに光を当てて,拡大投影したもののようです。

○こんなことが分かります
リサージュ図形が発信器を使わず,長方形の断面の縦横比だけで実現されることが分かります。

○原理
断面の縦横比を調整することにより,各方向の固有振動が正数比となり,リサージュ図形を描きます。

神戸大学理学部に保存された,島津製カレイドフォン

鋼鉄線の先端部は,光を反射してリサージュ図形を拡大投影するようになっている

台座には,鋼鉄製の各棒の根本に振動数比が記入されている。

断面の縦横比(長さの単位はmm)
振動数比 a
1:1 2.9 1.5
2:1 2.4 1.5
3:2 2.5 1.8
4:3 2.5 2.0
5:4 2.6 2.0
6:5 2.0 2.0

規則性は認められない。削りながら調整したように思われる
振動の映像

動画1(1:1)
動画3(3:2)
動画2(4:3)
動画9(5:4)
動画4(5:4)
動画5(6:5,5:4)
動画6(6:5)
動画7(6:5)
動画10(6:5)
動画8

さあ,復元してみよう!  続く
○開発の経緯
平成18年12月に,神戸大学百周年記念館において,「神大科学教育の源流」展が開催され,旧制姫路高等学校で使用されていた大正末期から昭和初期に使われた物理実験器具が展示されました。当時の技術が精度よく,しかも大胆な発想で原理を剥き出しに表現した機器が多いのに感動しました。またこの時代は,科学史的な価値や,実用的色彩の濃い物理教育を指向した,科学の輝いた時代であったことを実感しました。このカレイドフォンのように,熟練した職人の力を借りながら機器の復元を行い,ブラックボックスに囲まれた時代に,シンプルでダイレクトに原理を実感できる教材を増やしたいと思います。