ヒネモグラ(はじめ人間ギャートルズ)を乗車させた圧電リニアモーターカー |
○こんな実験です 圧電ブザーの圧電素子を2枚用い,電圧をかけて振動で滑らかに進むリニアモーターカーを作ります。 ○こんなことが学べます 圧電物質に電圧をかけると歪むことや,それを利用して自励振動する圧電ブザーや超音波モーターの仕組みを学ぶことができます。 ○こんな仕組みです ロッシェル塩(ぶどう酒工場の樽の底にできる)や水晶,チタン酸バリウムなどの結晶(これらは強誘電体)に圧力を加えると,結晶が歪んで表面に電荷が発生します。これを圧電効果と呼びます。また,逆に結晶に電場を与えると歪みます。これを逆圧電効果と呼びます。 圧電ブザーはこの逆圧電効果を周期的に起こして振動し,高音を発生します。 圧電効果は電気石について、 J. Curie、P. Curie兄弟により1880年に発見されました。 ここでは圧電ブザーを床に斜めにし,振動の際に床をけって進むようにしました。 |
||
超音波の振動によって進む,市販品の超音波リニアモーターカーの裏側,三角形の断面の脚を持ち,超音波領域の振動を発生させて脚に伝え,前後の摩擦の違いによって一方向へ進むことができる |
|||
○準備しよう 圧電モーター 2個,燐青銅板(薄いもの),配線材(軽くて柔らかいもの。イヤホン用などが良い),006P乾電池,同ソケット,両面テープ,はさみ,金切りばさみ,半田ごて,マイナスドライバー(小型) ○作ってみよう @ 圧電ブザーのふたをはずし,小型のマイナスドライバーを圧電素子の周囲にこじ入れ,少しずつ起こしながら取り出します。 A 圧電素子の一端を直線状に,金切りばさみで切断します。 B 燐青銅板を1cm×8cm程度に切り,両端を同一方向に曲げ,両面テープで圧電素子を貼り付けます。写真のように曲げると,ヒネモグラの向いた向きに進みます。 B 2枚の圧電素子の端子を,プラス同士,マイナス同士合わせ,柔らかい配線材と接続した後,006Pの乾電池に接続します。 |
圧電ブザー。容器がギターの胴のように響鳴して音を拡大(インピーダンスマッチング)する。ふたと金属板は節の位置で柔らかい物質で支えられ,振動を減衰させないようになっている |
ふたを開けると,圧電物質と回路が見える。上と左は抵抗(1k,3.3k,220kΩ),右下はトランジスタで発信回路を構成。圧電物質はチタン酸ジルコン酸鉛。その上に銀の薄膜が白く蒸着されている。このスペースで構成された回路は見事。FDK社製 |
|
○製作の注意 @ 圧電素子を取り出すときは,金属部分が曲がらないように,注意して少しずつ周囲から起こしてください。また,配線は切れやすいので,配線材を強くひっぱらないでください。 A 燐青銅板を厚くて丈夫なものにし,圧電素子をしっかり貼り付けると振動しなくなります。圧電素子の金属板が常に振動できる状態を保ってください。 B 圧電素子と燐青銅板の貼り付け部分は,振動の節の部分から大きくはずれないようにしましょう。腹の部分に貼ると,音が減衰したり消えたりするので分かります。 ○動かしし方 滑らかで固い机や床の上で動かします。プラスチック板やアルミ板の上で動かすこともできます。006P乾電池や電源装置に接続すると,ピーという音を発しながら,一方向へ進みます。よく進むように,燐青銅板を曲げる角度を調節してください。 ○気をつけてね 圧電ブザーの音は高くて不快に感じる人が多いです。長時間電源をつけっぱなしにしないように,また,深夜は動かさないようにしましょう。 ○こんなことができます。 耐圧十Vになるように,3F,耐圧2.5Vの電気二重層キャパシタを4個直列にして搭載し,自走式にしてみました。 ○開発にあたって 市販の超音波リニアモーターカーは高価なので,台数を増やすことができません。安価で手軽にできる,原理の同じものを試作しようと作ってみました。製作の過程で,圧電ブザーの構造について,FDK社(小野田工場)の技術の方に指導していただきました。ありがとうございました。 |
ワイヤ式の動画を見る 自走式の動画を見る 裏側から見たところ。白いゴム系接着剤の後は,円板の振動の節の位置を示している |
||
電源は006Pの9Vでも供給できる |
圧電素子の振動板の動きを横から見た図。斜めにすると床をけって進む力が生まれる |
||
電気二重層キャパシタを積んで自走式にしたときの回路 |
自走式へ改造 2008.11.10 |
キャパシタを4個直列に接続して搭載 |