○こんな実験です 強力なネオジム磁石は,アルミ板に接触させると等速度で落下します。予想させ,コインの落下などと比較すると,以外な動作で興味を引く教材になります。 ○こんなことが分かります レンツの法則や渦電流の学習になります。 ○原理 自然界は恒常性(今の性質を保とうとする性質)を持つため,安定して存在することができます。この性質が崩れると,一気に崩壊していきます。化学ではル・シャトリエの原理という,変化をうち消す方向に反応が進む性質があります。発電機も電磁誘導という,磁界をコイルが横切ると,コイル内を横切る磁束の変化をうち消すようにコイルに電流が流れるという仕組みを利用しています。 この実験では,ネオジム磁石がアルミニウムの導体板に接近して落下します。ネオジム磁石が作る磁束がやってくると,この磁束をうち消すようにアルミ板内に電流が渦状に発生します。これが渦電流で,渦電流によって発生した磁界は,ネオジム磁石の磁界を反発して落下の抵抗になり,重力とつりあうために等速度運動になります。 |
ネオジム磁石をコの字の断面を持つアルミ板(コの字レール)の中に落とすと等速度運動が生じる |
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落下の動画を見る 磁界観察シートを用いた動画を見る ○準備しよう ネオジム磁石(平板状),コの字レール(アルミ製1m),磁界観察シート((株)シータスク) ○実験のしかた 断面がコの字型のアルミレールを鉛直に支え,ネオオジム磁石を落下させます。 ○こんなことができます 磁界観察シートをアルミ板に貼ると,透明になったようにネオジム磁石の落下の様子を見ることができます。 しっかり観察すると,ネオジム磁石の動きが速いと,誘起される渦電流による磁界が強くなってネオジム磁石の周囲がより黒くなる様子を観察することができます。右の動画を比較してみましょう。 |
アルミ板上でゆっくり動かしたときの磁界の様子の動画を見る アルミ板に接してネオジム磁石を滑らせる。アルミ板の向こう側に磁界観察シートが貼ってある アルミ板上ですばやく動かしたときの磁界の様子の動画を見る |
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磁界観察シートに現れたネオジム磁石による磁界のパターン。円盤面に垂直に磁力線がある | ||
○開発の経緯 アルミ管の中を落とす実験はダイナミックで興味深いのですが,ネオジム磁石を観察できるのは,上からのぞきこむ一人だけです。このため,大勢で観察できるように,切れ間があるコの字型の断面にしました。 また,落下時に生じる渦電流による磁界が視覚化できないものかと,磁界観察シートを当ててみました,管の中の落下では分かりにくいですが,アルミの平板で観察すると,ネオジム磁石の周囲の渦電流による磁界が強くなる様子を確認することができます。 |