吹き矢


○こんな実験です
吹き矢は石器時代から狩猟に使われている道具ですが,アマゾンやカラハリ砂漠では現在も使われています。また,動物園の麻酔銃としても使われて,スポーツにもなっています。狩猟に使われる吹き矢は2m近くありますが,どうしてこんなに長いのでしょう。

○こんなことが分かります
力積と運動量の関係を分かりやすく学ぶことができます。

○原理
吹き矢に息を吹き込むとき,弾が射出するまで管の中ではほぼ一定の力が加わります。そのため,弾は等加速度運動し,管の長さの平方根に比例した速さで発射されます。
管の端で発射される速さをv,弾を吹いて押す力をF,弾の質量をm,管の長さをxとすると v^2=2Fx/m ∴v∝√x

長い管は2m,短い管は40cm,右端は弾

短い管で発射した動画を見る

長い管で発射した動画を見る


○準備しよう 
ラミン丸棒(使用する管の内径に合わせる),透明アクリルパイプ(2m,0.4m等),サンドペーパー,釘,電動ドリル,ノコギリ,平やすり,段ボールの的
○作ってみよう
@ ラミン丸棒を5cmほどの長さに切り,中心軸に釘を打って電動ドリルに固定する。これを回転させながらサンドペーパーで削り,管の内径にぴったり合うようにします。また,先端部を丸くする。
A 透明アクリルパイプの短いものはノコギリで切り,先を平やすりで平らにします。長いものは透明テープでつなぐこともできます。

○製作の注意
ドリルで削るとき,摩擦熱が発生します。やけどに注意しましょう。

ラミン丸棒の中心軸に釘を打ち,電動ドリルで回転してサンドペーパーで削り,管の内径にぴったり合うようにする

ラミン丸棒と削りだして着色した弾

弾ボールに突き刺さった弾。短い管だと跳ね返るが,長い管だと突き刺さったり,突き抜けたりする
○実験のしかた 
的を弾ボール箱で作り,管の口を加えて思い切り吹きます。長い管と短い管で弾の威力を比較します。

○実験の注意
的に当たって跳ね返った弾が当たらないように,また,的の先に人がいないように気をつけましょう。

○こんなことができます
@ マルチストロボで加速の様子を撮影すると,等加速度運動になっているかどうか(一定の力が働いているかどうか)確認できます。
A 飛行する弾の安定性をよくために,動物園の麻酔弾は後部に布を付けます。安定して飛ぶための工夫をしたり,安全に遊ぶためのルールや弾を考えて,スポーツ吹き矢として遊ぶのもおもしろいでしょう。

○開発の経緯
吹き矢は単純な構造ですが,長くするとその威力に以外性があり,印象深い実験になります。ここでは,弾が加速される様子が見えるように透明アクリルパイプを用いて,演示に適した形にしました。