基板と電池を背負った自走式のロボットです |
○こんな実験です バイオメタルの伸縮と,前後の足の裏の摩擦の差で移動する尺取虫ロボットを作ります。バイオメタルは電流ONで縮み,OFFで伸びますが,タイマーIC555を用いた発振回路の出力をFETの2SJ377で反転させ,ONの時間をOFFの時間の1/4にして動かしています。 ○こんなことが学べます 電流の熱作用や,熱によって収縮するバイオメタルの性質,タイマーICを用いた発振回路の仕組み,FETの働きを学ぶことができます。また,筋肉の動作のしくみを学ぶことができます。 ○こんな仕組みです バイオメタルは形状記憶合金でできています。収縮が始まるる温度は60〜70°Cで,冷やせば元の長さに伸びます。1mにつき約4cm伸びます。このとき電流は100〜200mA流します。 10cmの長さに切ると,1.5Vの乾電池2本分です。タイマーIC555は3ピンの出力がHレベルになっている時間をTH、Lレベルになっている時間をTLとすると、TH、TLは次式で求められます。ここではRa=R1,Rb=R2+VR2(200kΩ可変)として, TH=0.693・(Ra+Rb)・C TL=0.693・Rb・C 周波数fは、 f=1.44/(Ra+2Rb)・C です。これではONの時間がOFFの時間より長くなるので,FETの2SJ型で反転します。 |
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回路図 |
○準備しよう 基板および回路部品(回路図参照),バイオメタル(BMF150 トキ・コーポレーション)10cm,メガネ端子(小)2個,単5電池ホルダー2個,単5電池2本,配線材,プラ板,両面テープ,洋服ブラシ,はさみ,半田ごて,圧着用プライヤ,ホッチキス ○入手先 バイオメタル(BMF150),メガネ端子(小): トキ・コーポレーション ○作ってみよう @基板を配線します。 Aバイオメタルの端と,配線材の端をメガネ端子で接続し,しっかり圧着します。 B透明プラスチック板を長方形に切り,中央と両端を曲げて尺取虫の本体とします。足の裏の部分に洋服ブラシの布を貼りつけます。 Cバイオメタルを本体にホッチキスで固定します。 D基板と乾電池ボックスを配線し,本体に両面テープで止めます。 |
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基板上の配線例 | ○製作の注意 @バイオメタルは通電中は熱くなるので,プラ板が溶けないように注意が必要です。 A洋服ブラシの目に注意して,進行方向には滑るが,その逆方向には止まるようにします。 ○遊び方 乾電池を電池ボックスにセットします。半固定抵抗を回して,歩くタイミングを調節します。 ○開発にあたって 自走式を作ってみたくて,最も普及しているタイマーIC555を用いることを考えました。出力を反転させ,大きな電流をバイオメタルに流す必要があったため,FETのポジティブタイプを使いました。また,重い乾電池を背負うため,動かすのに苦労しましたが,最も簡単な直線状のヒッパリ型で実現することができました。 |
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バイオメタルの取りつけ方 |
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