○こんな実験です 以前紙コップバイオリンや紙コップハープを作った経験から,もっと簡単に確実にできて,音質のいいものをと思って試作しました。 弦は1本の単純な構造ですので,高度な演奏は困難ですが,音はしっかり出ます。 ○こんなことが学べます 音は空気の振動が媒質(普通は空気)を伝播していく波動現象です。ここでは楽器の原理として,まず振動を作る音源の部分と,音を効率よく空気中に大きな音として広げる共響(共鳴ではありません)部分とが必要であることを学びます。 ○こんな仕組みです ギターの弦は指などではじいたり,弓の松ヤニをつけた弦で摩擦したりして弦を振動させます。これが音源です。しかし,これだけでは知覚の人にしか音は届きません。小さな振動を大きな面積を振動させて,空気に伝えてやらないといけません。 ここではかき氷で作るフラッペのカップがギターの胴の役目をします。弦の振動はことじ(三角の弦を支える板)を通してカップの底から振動を伝え,効率よく広い空気中へ音を放出します。これは電気の用語を用いて,音響インピーダンスを合わせるといいます。人の耳にある耳小骨も,鼓膜の振動をリンパ液の振動に効率よく伝え,蝸牛管の中の聴覚細胞の繊毛を効果的に揺らします。 |
ギター風に演奏 |
胡弓風に演奏 |
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バイオリン風に演奏 |
演奏を聴く「涙そうそう」 ギター調 バイオリン調 |
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演奏を楽しむ青谷長町の子ども達 2007.3.17 青谷地区公民館 理科大好きボランティア事業 |
ことじをのせるため,丸棒に平ヤスリを当てている 2007.3.18 賀露地区公民館 理科大好きボランティア事業 |
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○準備しよう ラミン丸棒(450×12mm,450×4mm),桧三角棒,フラッペ用カップ,マルカンボルト(4×20mm)羽毛(水鳥など),ナイロンテグス(30号60cm,3号2m),平ヤスリ,ドリル,のこぎり,切り出しナイフまたはカッターナイフ,サークルカッター,錐,木工ボンド,松やに |
材料一式 |
フラッペカップに,直径12mmの穴をサークルカッターで開ける |
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○作ってみよう @ 丸棒を万力で固定し,ドリルでマルカンボルトを通す穴と,反対側で弦を止める穴を開けます。 A マルカン用の穴の手前を,平ヤスリで平らにし,ことじを木工ボンドで固定します。 B マルカンを穴に通し,ボルトでゆるく固定します。 B マルカンボルトの反対側に,弦を通す穴を開け,30号のテグスを通して抜けないように大きめの結び目を作ります。 C フラッペカップに直径12mmの穴を直径方向に開け,丸棒を通します。 D フラップカップの底にことじを置き,弦の一端をマルカンボルトに結びつけて巻き,ボルトで固定します。 E 直径4mmの丸棒の端に,くびれを小刀かカッターナイフで掘り,3号のテグスを5,6重にはって弓にします。 |
12mmのラミン丸棒を万力で固定し,ドリルでマルカンボルトを通す穴と,反対側で弦を止める穴を開ける |
マルカンボルトの位置の手前を平ヤスリで平らにし,ことじが固定しやすくなるようにする |
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マルカンボルトを穴に通し,ボルトでゆるく固定する |
ことじを木工ボンドで固定する |
棒の反対側に弦(30号のテグス)が通る穴を開ける |
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フラッペカップの直径方向に開けた穴に,直径12mmのラミン丸棒を通す |
端の穴に30号のテグスを通し,大きな結び目を作って,抜けないようにする |
フラッペカップの上にことじを置き,弦をはる |
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マルカンボルトに弦を固定し,巻き付けてボルトで固定する |
直径4mmの丸棒の端に,くびれを小刀かカッターナイフで掘る |
くびれ部分に巻き付けながら,3号のテグスを5,6重にして弓の弦をつくる |
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○製作の注意 @ ラミン丸棒に穴を開けるときは,割れないようにゆっくり慎重に作業しましょう。 A 小刀やカッターナイフの刃が進む先には指を持っていかないようにしましょう。 ○ 演奏のしかた ギターのように弦をはじいたり,胡弓やバイオリンのように弓で弾いたりします。弓の弦には十分松ヤニをつけるようにします。 ○ 開発の経緯 かって紙コップバイオリンを作りましたが,紙コップがつぶれやすく,弦を強くはることが困難だったので,実際の楽器に近い形に改良しました。 ○ 参考 「紙コップバイオリン」 作る科学の本 足利裕人編著 (株)シータスク |
完成した弓 |
演奏前に,弓の弦には松ヤニをしっかりこすりつける |