○こんな実験です DVDの反射面を用いた分光器を製作し、電灯や蛍光灯,放電管等の光のスペクトルを観察します。平成24年度から前倒しの高校物理では、学習指導要領にCDやDVDなどの反射型回折格子を使う例があり、試作してみました。 ○こんなことが学べます 反射型回折格子の原理が体験的に分かります。また、様々な光を観察することで、固体と気体の光の違いや、吸収スペクトルの様子、光の色の異な る蛍光灯によるスペクトルの違いなどを観察できます。 ○こんな仕組みです DVDは,ピットと呼ばれる小さな突起の並び(トラックと呼ぶ)で情報を記録しています。この並びはディスクの中心から外側へ向かって,0.74μmの規則正しい間隔になっており、反射型の回折格子となって光を回折します。 DVDのような反射回折格子に単色光が角度iで入射し,角度rで回折したとすると,平行な光a,bの光路差(BC−AD)が波長の整数倍のとき強めあいます。したがって, dsini−dsinr=mλ @ 分光器として観測するのは一次(m=1)の回折光なのでm=1。DVDの格子定数は隣り合うピットの並び(トラック)の間隔なのでd=0.74μm=7.4×10^(-7)mとなります。例えばλ=6.5×10(-7)mの赤色光の場合,@式より r=sin^(-1)(sini−λ/d)= sin^(-1)(sini−6.5/7.4) A 式でr>0でないと観察しづらいので,iはできるだけDVD面に平行に近い大きな角度にします。ここではi=10°で設計しました。 |
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蛍光灯(白色)のスペクトル |
○準備しよう DVD、型紙、厚紙(A4)、両面テープ、はさみ、カッターナイフ、黒マジックインク(Procky等のにじみにくいもの)、定規 ○作ってみよう @ 型紙をダウンロードします。 A 折れ線(すべて山折り)に定規を当て、はさみで軽くなぞって折れ目を入れます。 B はさみで外側の線にそって正確に切り取ります。 C 内側をProkkyなどのにじまない黒マジックインキで黒く塗ります。 D スリットと観察窓をカッターナイフで切り取ります。 E DVDをはさみで8ないし10等分します。このき、熱湯につけてすばやく切断します(国立科学博物館の若林文高先生に教えていただきました)。 F EのDVDの一片を両面テープで型紙の裏面に固定します。 B 糊しろに両面テープを貼り、分光器を組み立てます。 ○製作の注意 すきまからの光が箱の内部にもれないよう、しっかり接着します。また、箱がねじれないようにします。 |
DVD分光器設計図 型紙(pdf)のdownload |
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完成図 |
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手前は写真撮影用にのぞき穴を円形に切り抜き、光が入らないように内部を黒く塗った筒で覆ったもの |
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○観測の仕方 @ スリットに観測光を入れ、観測窓に眼をあてて、DVD面のスペクトルを見ます。 A 蛍光灯の白色や昼光色で、スペクトル分布が異なるのがわかります。また、分かれた色の明るさや太さが異なるのが分かります。 B 色の異なる発光ダイオードなどの光をのぞいて、スペクトルの違いを観察しましょう。 C 電源装置に白熱電灯をつなぎ,電圧を変えたときのスペクトルの変化を観察します。 D 太陽のスペクトルに黒い線(フラウン・ホーファー線)が観察できます。 ○気をつけてね 太陽を直接のぞかないようにしましょう。 |
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【実験 格子定数の測定】 『方法』 @ 図のように,スタンドに透明定規を机の面と並行に,レーザーポインタを垂直に固定する。 A レーザー光が定規の中央の目盛を透過し,直下のDVDによる反射光(0次)が,直接光と一致するようにレーザーポインタの取り付け角度を微調整する。 B DVDによる一次の回折光が,定規の目盛位置に映るよう,定規の高さとCDやDVDの水平面内での向きを調節する。 C 定規に映った一次の回折光の位置x1,x2を読み取り,平均の値xを求める。また,このときの定規とCDやDVDの反射面との高さhを測る。 D DVDではd=7.4×10^(-7)m,また, sinθ=x/√(h2+x2),dsinθ=λを用いて用いたレーザーポインタの光の波長を測定する。 『測定結果』 青色レーザーでx=7.0×10^(-2)m,h=10.0×10^(-2)m,d=7.4×10^(-7)m でλ青=424nm 緑色レーザーでx=6.75×10(-2)m,h=6.5×10^(-2)m ,λ緑=533nm 赤色レーザーでx=8.7×10^(-2)m,h=4.7×10^(-2)m,λ赤=651nm) |
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○開発にあたって 平成24年度より先行実施される高等学校物理の探究学習用に開発しました。DVD分光器には国立科学博物館の若林文高氏のすぐれた教材があります。DVDを用いると、ピットの列の感覚が狭いため、スリットからの入射光をDVDの反射面にほぼ平行に近くなるようにする必要があります。そのため、光源の方向に観測者の目が向lくように、一度塩ビミラーで反射させています。ここでは、ミラーを使わないことで構造を単純にし、より手軽に作れるものを試作しました。 |