ビーズで作った宝を,タレビンの魚で釣り上げます 写真提供:田中祐美さん |
2005.5.28賀露地区公民館(理科ボランティア事業)にて |
○こんな実験です 水を入れたペットボトルの中にタレビン(弁当に付いてくるお魚型などの醤油入れ)で作った浮沈子を入れ,ペットボトルの胴体を押すと浮沈子は沈みます。また,押すことを止めると浮沈子は浮上します。 この浮沈子に釣り針をつけて,ビーズの宝を釣り上げて遊びましょう。 ○こんなことが学べます パスカルの原理とアルキメデスの原理を,遊びながら体験し,学ぶことができます。 |
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○こんな仕組みです パスカルの原理は,『密封した液体の一部に圧力を加えると,他の全ての箇所において同じ圧力が生じる』というものです。 左図は車に使われている油圧ブレーキです。 ブレーキペダルを踏むと,小さな断面のピストンが油に力を加え,圧力を発生します。この圧力はブレーキ ラインを通り,大きな断面のピストンを押します。この時の力は断面積の比で大きくなるので,少しの力で大きな制動力を出すことが出来ます。 参考: 力=圧力×面積 問: 大きな注射器と小さな注射器をゴム管で接続し,水を満たして両側から指で押してみよう。どちらの指が大きな力で押し返されるだろうか。 |
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アルキメデスの原理は,『液体中の物体は,その物体が押しのけた液体の重量に等しい浮力を受ける』というものです。 左の図のように流体中に置かれた物体は,流体自身の重力により,浅い部分は小さな圧力,深い部分は大きな圧力を受けます。 浮力=流体中の物体が受ける圧力差 魚は体内に浮き袋を持ち,筋肉による小さな力で浮き袋の体積を変化させ,浮力を調整して効率よく浮き沈みすることができます。 まっこう鯨は血液で脳油を暖めて体積を変化させ,浮き上がりやすくします。 |
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タレビン浮沈子と宝の加工 |
○準備しよう タレビン,M6ナット(6mm),ステンレスの針金,動眼,油性ペイントマーカー,ビーズ,ペットボトル(炭酸系,500m),接着剤(ペットボトル用等) |
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いろいろなタレビンが売られている。着色すると楽しい |
クリオネ型浮沈子。色ガラスを使用 |
左はストロで作ったイカ。魚釣り用のガン玉をおもりに使用 |
○作ってみよう @ 宝:ビーズにステンレスの針金を通し,図のように輪を作って90度曲げます。このことにより,ビーズがどの向きに沈んでも,釣り上げることが可能になります。 A 浮沈子:図のようにステンレスの針金をかぎ状にし,M6ナットをタレビンの口にねじ込んで固定します。B タレビンに熱帯魚のように色を付け,動眼を接着剤で付けて完成です。 ○製作の注意 針金を曲げるときは,指にささないように気をつけましょう。 また,タレビンはポリエステルでてきていて塗装がはがれやすいので,油性ペイントマーカーがいいです。 |
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バンダイ製のタレビンに着色したもの |
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○遊び方 @ ペットボトルに水を満たします。 A タレビンにストローで水を少しずつ入れ,水に浮かべて尻尾の部分が出るくらいに調整します。 B ペットボトルに宝と浮沈子を入れ,ペットボトルの横を押して沈め,宝を吊り上げる競争をします。 ○こんなこともできるよ 浮沈子には回転するものや横泳ぎするなど,いろんな動きをさせる工夫ができます。材料や形を変えて,いろんなタイプを開発すると楽しいです。また,いろんな遊び方も考えてみましょう。 ○開発にあたって 浮沈子は現在最もはやっている科学工作の1つです。2004年度の理科ボランティアの講習会(会場:科学技術館)の講師で浮沈子を頼まれたため,広島の田中祐美さんに教えていただいて,宝釣りの形にしました。なお,M6ナットをタレビンの口に付ける方法は手軽であり,兵庫物理サークルの森井氏によって開発されました。 |