蓄光ボード


蓄光ボードにLEDライトで描いた一反木綿
○こんな実験です
N夜光(ルミノーバ)は,太陽光や蛍光灯に約10分当てるだけで,一晩中光り続けます。このルミノーバを用いたシートに高輝度白色または,青色発光ダイオード(LED)や紫外線LEDを用いて図や文字を描き,暗闇で光らせて遊ぶボードの工作です。

○こんなことが学べます
蓄光物質の光の吸収と発光が体験できます。電気等のエネルギーを使用しない,自然にやさしい発光体であることが学べます。このシートを懐中電灯や非常持ち出し品などにステッカーとして貼ったり,部屋の出口を示すステッカーに使ったりすると,安全用品・防災用品の効果があがることがわかります。

○こんな仕組みです
蓄光物質に光を当てると,電子が高いエネルギーの軌道に上がります(励起という)。この励起された電子が低い軌道に落ちるとき発光します。ルミノーバはアルミン酸塩化合物を主成分に希土類元素の賦活剤を添加焼成した物質で,従来品と比べ、初輝度で10倍、残光輝度で10倍の明るさをもちます。光の吸収−発光−吸収−発光を何度でも繰り返すことができます。
○準備しよう
蓄光シート(53cm×95cm),プラスチック段ボール「サンプライ」(180cm×90cm),角材(2cm×2cm×160cm),強力両面テープ,床養生シート固定用テープ,カッターナイフ,ノコギリ,はさみ

○入手先
蓄光シート(根本特殊化学株式会社製)(株)シータスク

○作ってみよう
@プラスチック段ボールを,蓄光シートの大きさに合わせてケースの展開図にカットします。
A山折り部分にカッターナイフを軽く入れ,曲げやすくします。
B強力両面テープでケースの糊代を接着し,床養生シート固定用テープで補強します。
C強力両面シートで角材をケース底部の外側に貼り,安定して立つようにします。

○製作の注意
ケースの折れ線に沿ってカッターナイフを入れるときは,力を入れすぎて切り取らないように注意しましょう。。

周囲からの光をさえぎったケースの底に蓄光シートを張る

側面・背面の様子。床養生シート固定用テープで補強する
○遊びかた
部屋を暗くし,ペンライトで絵や文字を描きます。明かりを消して部屋を出るときに,伝言を残しておくことにも使えます。


○発展学習
蓄光物質ルミノーバは現在時計の針や文字盤などにも使用されています。昔は放射性物質を含んだ蛍光塗料が使われ,廃棄が困難でしたが,ルミノーバは一晩中発光するため,この蛍光塗料にとってかわりました。
下の表のように緑色に発光しても,吸収する光は紫外線領域にあるため,右図のように青と白のLEDランプの部分しか発光しません。

G-300シリーズ 特性表
化学組成 SrAl2O4:Eu,Dy
体色   緑白色
発光色 緑色
発光ピーク波長 520nm(緑)
励起ピーク波長 365nm(紫外)
     
参考:根本特殊化学株式会社Webページhttp://www.nemoto.co.jp/product/01_luminova/


上から青,緑,橙,赤,白のLEDランプを準備する

青と白のランプの光をを当てた部分のみ発光する

○開発の経緯
ルミノーバのシートは,小さく切ってプラコプターの羽根に貼ると,ホタルの舞いのように飛びます。また,繊維にまぶしたものは「燃えろ火の玉」で使っています。今回は,蓄光の高性能性を活かして,お絵かきボードにしてみようと思って開発しました。高輝度LEDと組み合わせて,いろんな運動解析ツールに発展させる予定です。

高輝度白色LEDと,紫外線LEDとで蓄光効果を比較する。この紫外線LEDは青から紫,紫外線と波長が短くなるにつれ強いスペクトル分布を持つ
上の線が高輝度白色LED。下の線が紫外線LED。同じ速さでゆっくり動かした10秒後の,ルミノーバの発光の様子