モアレ・見よ


顔のモアレパターンの観察。点光源からの光で,編み目の影をニットの布の上に映す。編み目と影とが重なり合って(干渉という)モアレ縞による等高線が見られる
○テーマ曲
右のアイコンをクリックしてみよう。テーマ曲が聴かれるよ。

○こんな実験です
2枚のすだれの重なりや,編み目のバッグの手前と奥の布の重なりなどに,大きな暗い縞模様が見られます。テレビに細かい平行縞や編み目の服を着た人が登場すると,その模様がテレビ画面の操作線と重なり合って同様に縞模様ができてちらちらします。これらの現象をモアレといいます。
ここでは5cm離して平行に設置したトリカルネット(鉢底ネット)と伸縮性の大きいニットの布を利用し,ネットと点光源による,布の上の影によって生じるモアレ模様を観察します。身体のどの部分を布に押しつけているか,どんな物体を押しつけているか当てっこするとおもしろいでしょう。

○こんなことが学べます
布の凹凸がモアレ干渉図形として,等高線状の縞模様を生じることが分かります。

○こんな仕組みです
2組の規則正しい周期を持つ同一の模様を重ねたとき,模様の交差した部分が元の模様の周期とは異なる縞模様(モアレ干渉パターン)になります。
この現象は,音の場合のうなりと似ています。例えば2枚の編み目を重ねると,そのズレに従ってモアレ縞ができます。もし,ある立体に網を被せておけば、別の網を平面上に張ることにより,モアレ縞によって立体の形が等高線で浮き出してきます。これは背骨の曲がりの検査にも利用されています。
この等高線状の干渉縞のパターンから物体の立体形状を得る方法を,モアレ・トポグラフィといいます。
ビルの塗り替え工事で使用されたネットが2枚重なって,モアレが生じている
2枚のトリカルネットのお互いの角度を変えると生じる縞模様の大きさが変化する,

縞模様は重なり方が小さいほどおおきくなる
○準備しよう
トリカルネット(2.3m×1.2m),ニットの布(2.5m×1.5m),強力ライト(プロジェクターやOHPも利用できる),板材,角材,チョウツガイ,モクネジ,木工ボンド,ノコギリ,ねじ回し,押しピン

○入手先
トリカルネット:ホームセンター

○作ってみよう
@板材,角材を用いて,ネットと布を貼るパネルの骨格(枠)を作ります。ここではチョウツガイを使って,格納性や可搬性を高めています。
A枠を組み立て,トリカルネットを前部に押しピンで貼ります。
B枠の後部に,ニットの布をピンと押しピンで張ります。

○製作の注意
ニット側から身体などを押しつけて遊ぶので,枠の前部下に倒れ防止用の木片を枠に垂直に取り付けます(チョウツガイで折り畳めるようにする)。

分解して可搬性を高めるように設計した

パネルの骨格。左の写真の木製の部品を組み立てた
○遊びかた
強力ライトを当て,布をはった側から顔や手を押しつけ,できるモアレパターンを観察します。

動画 とっとり子ども科学祭り2006で(mpeg1 1873KB)

○開発の経緯
大きなモアレ・トボグラフィ装置を作って,ステージショーを行おうと考えていました。網目を何で作るか物色していたとき,ICPE国際会議(2006年8月)で出会った北海道の永田敏夫氏に,トリカルネットを用いる方法を教えていただきました。布をはって,その布に身体を押しつけて遊ぶ方法は,私のオリジナルです。

脚の下部には倒れ防止用の木材を取り付ける

鳥大附属中学での理科コーディネータ事業の様子(2006.8.20)
顔のパターン
両手の間に顔がある

実験風景。明るい部屋では強い光源が必要

手と顔のパターン。編み目はトリカルネット