かえでの種子 | ○こんな実験です かえでや松の種子はプロペラのような薄い羽根を持っています。この種子の形をを大きくした玩具を作って空高く投げ上げます。すると、ダイナミックに1枚羽根のヘリコプターとして、くるくる回転しながらゆっくり降りてきます。 ○こんなことが学べます 材料を切りつめて,薄い膜を支える細い補強骨を持つ種子は,回転により効果的にゆっくり落ちる方法を持っていることが分かります。 ○こんな仕組みです 植物の種は,真下に落ちるとその植物の影で光を奪われ,成長しにくくなります。重心が一方に偏った構造で,空気との摩擦により回転が始まります。回転することにより,翼の表面積を10倍の円盤に増やし,ゆっくりと落下させてわずかの風でも遠くに種を散布することができます。ゆっくり落下することは、種子を落下の衝撃から守ることにもなります。 |
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設計図 |
○準備しよう 塩化ビニルの板(200mm×150mm×0.45o),本誌の型紙、のり、座金(直径3cm前後、約10g)、はさみ、接着剤(セメダインX等) ○入手先 塩化ビニルの板、座金、接着剤:ホームセンター |
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○作ってみよう @ 塩化ビニルの板に型紙を貼り付けます。このとき、補強骨に相当する部分(型紙の破線部より上)は写真2のように2枚作ります。 A 型紙にそって切り取ります。 B 補強骨を本体の裏表に重ね、接着剤ではり付けます。 C 座金を接着剤ではって完成です。 ○製作の注意 @0.45mmの厚さの塩化ビニル板は柔らかくて、ふつうのはさみで切れます。硬い材質を使うときは金切バサミ等で切りましょう。 Aプラスチック用の接着剤を使うときは、換気に気をつけましょう。 |
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完成図 | |||
○遊び方 写真のように持ち、思い切り真上に投げ上げます。高く上がるほどおもりの部分を中心に、水平の状態で回転する時間が長くなります。投げる力の弱い人は、すべり台など高いところから投げ上げるといいです。回転が始まるとゆっくり落ちることが分かります。 ○こんなこともできるよ @写真のようにオーバーハンドで投げたり、おもりを下にしたり、おもりの部分をつまんでアンダーハンドで投げたり、と年齢に応じて投げやすい方法で遊ぶことができます。 A大きさを変えたり、下じきやプラスチック板の廃材(食品パック等)を工夫したり、おもさを変えたりしてオリジナルのものを作ってみましょう。 B松の種子はかえでと形が少し異なります。いろいろな種を観察して飛び方などを調べてみましょう。 ○気をつけてね 広い公園や体育館で遊びましょう。人が多いところや、車の通るところ、狭い場所では飛ばさないでください。 |
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水平な面内で回転しながら飛行する様子 | ○開発にあたって 「つくる科学の本」で紹介したアルソミトラの種は、風の少ないジャングルで遠くへ飛行して種子を散布するために、グライダーの形を獲得しました。しかし、日本は季節風など風のよく吹く地域にあります。桐やタンポポ、ガマなどの種子は、パラシュート代わりの綿毛を獲得して、風に乗って遠くへ飛んで行きます。かえでや松とは形が異なりますが、青桐の種子も回転しながら落下します。これらを観察していると、いろんな種子の玩具を作ってみたくなります。 ○参考文献 植物は驚異のデザイナー 形態・適応・生存 フェリクス・パトゥリ著 土田光義訳 白揚社 つくる科学の本 足利裕人編著 シータスク |