奈落(無限鏡)



完成版です。底の鏡の他にハーフミラーを2枚使います

無限の深い穴の中に吸い込まれ,奈落に落ちてしまいそう
○こんな実験です
ホテルやデパートのエレベータの天井に,無限に光の点が遠くまで続いているのをみかけることがあります。大阪の市立科学館には,縦横40cmくらいの正方形のこの無限遠のテーブルが床に設置してあり,吸い込まれそうになります。
「奈落」というのは梵語の「naraku」の音写で,「どん底」という意味です。

○こんなことが学べます 
鏡とハーフミラーの反射によって,無限に続く光の点ができることが分かります。また,ハーフミラーの光の反射率について考えることができます。

○こんな仕組みです
LEDの光は底の鏡で反射され,まず鏡の裏側にLEDの像があるように見えます。この反射光は上に重ねたハーフミラーを透過し,一部の光は目に飛び込みますが,残り反射され,鏡によって鏡の裏側にLEDの像があるように見えます。この反射光はハーフミラーによって一部透過,一部反射を繰り返し,多重に奥深くLEDの光の列がトンネルを作るように見えます。
ここではハーフミラーを2枚使って,より遠くまで光のトンネルができるように工夫しました。 

アクリサンデー板は好みの色や濃さを選ぶことができる。あまり濃いと遠くの光が暗くなる
○準備しよう
アクリサンデー板(色番310 うす青透明 SS 180×320×2mm),アクリルミラー,高輝度白色LED8個,単三電池ホルダー(スイッチ付き),単三電池2本,配線材(赤,黒),角材(16×1000×5mm(下段用),(20×1000×5mm(上段用)),木工ボンド,のこぎり,定規,半田,半田ごて,両面テープ(5mm),アクリルカッター,カッターナイフ

○入手先
アクリサンデー板:ホームセンター
単三電池ホルダー(スイッチ付き),高輝度LED(白):秋月電子通商

○作ってみよう
@アクリルミラーの大きさに合わせ,アクリサンデー板を2枚,アクリルカッターで切り取ります。
A下段用(幅16mm)角材を鏡に合わせた大きさに切り,木工ボンドで接着して箱を組みます。上段用(幅20mm)角材も鏡の大きさに合わせて箱形に組みます。
B下段の箱の上側にはLEDの脚を埋め込む穴をカッターナイフ角材ナイフで掘り,LEDを埋め込みます。
CLEDの長い方の脚がプラスです。全てのLEDを並列に(すべてに3Vが加わるように)配線します。LEDは発光面が下を向くように直角に付け根の部分の脚を曲げます。
電池ホルダーも接続し,点灯を確認します。
DLEDを並べた面に5mm幅の両面テープを二重に貼り,ハーフミラー(アクリサンデー板)を貼り付けます。
Eさらに上段の箱を両面テープで重ね貼りし,最上面にもう1枚のハーフミラーを貼り付けて完成です。

下段を作る材料

LEDの脚をはめ込む溝をカッターナイフで掘っておく。この上に両面テープを重ねてハーフミラーの1段目を貼る

1段目の箱を組んだ様子。右側は乾電池ホルダーを乗せる部分

LEDの脚を溝にはめた様子。LEDは全て下側(アクリルミラー側)に曲げておく

全てのLEDを並列に接続する

裏返して点灯試験しているところ

ハーフミラー1枚だけの状態

ハーフミラー1枚だとこの程度にしか光が置くに届かない
○製作の注意
@ハーフミラーを増やすほど,遠くまで光が届くように見えますが,どんどん装置の厚みが増えます。
Aアクリサンデー板にはいろんな種類があります。好みの色を洗濯できますが,あまり濃いと奥の光が暗くなり,重ねるとますます暗くなります。
BLEDは明るいほど遠くまで光が届くように見えます。電圧を上げ,保護抵抗を付けて電流を増やせば,もっと効果的です。

○遊び方
少し暗い部屋や,部屋を真っ暗にして点灯してのぞいてみてください。無限に吸い込まれる穴ができたように見えます。

○開発にあたって
数年前,市立科学館で大型のものをみたとき,作ってみたいなと思っていました。各地のホテル等で天井の装置を見たとき,ハーフミラーと鏡を組み合わせるとできそうだと思い,作ってみました。始めはハーフミラーは1枚だけでできると思ってましたが,ハーフミラーを増やすほど効果的だと気づき2段にしました。
子供用に,1時間程度の工作でできる簡易版を開発してみようと思います。

ハーフミラーを2段重ねにした完成版