○こんな実験です のぼり虫は高いところに向かう習性を持った虫を模した工作です。虫をくっつけた側を下にすると,円筒をに沿って虫が高い方へ登って行きます。虫がくるくる周りながら登ることもあります。ここではのぼり虫の工作にぴったりの,百円ショップで見つけたテントウムシのマグネットを使います。 ○こんなことが分かります 透明アクリルパイプを使っているため,浮きが上昇する様子や,磁石が入っている様子が見えます。そのため,浮力や磁力を学びやすくなっています。 ○原理 のぼり虫が登る原因を考えましょう。まず,円筒内は水で満たされ,その中に発泡ポリスチレンの浮きが入っています。円筒をひっくり返すたびにこの浮きが浮力で上昇します。この浮きにはネオジム磁石が取り付けられており,マグネットの磁石と引き合います。したがって,浮きの上昇とともにマグネットも上昇します。 |
ネオジム磁石が小さくて磁力が弱いため,発泡ポリスチレンの棒の中にもネオジム磁石を埋め込んでいる |
強力ネオジムタイプのマグネットを使用したもの。左のものより新しい製品(2006年12月)。 こちらは発泡ポリスチレンの円柱棒に4mm四方の鉄片をはりつけている |
材料一式 |
動作の動画を見る ○準備しよう テントウムシのマグネット(百円ショップ)2個またはマグネットと鉄片,透明アクリルパイプ,コルク栓またはシリコンゴム栓,発泡ポリスチレンのブロック,水,サンドペーパー,錐 |
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○作ってみよう @ 発泡ポリスチレンのブロックを適当な大きさに切り,サンドペーパーで円柱状に,アクリルパイプに入るサイズに削り,浮きにします。 A 一つのマグネットから磁石を取り出し,浮きの中央に錐で穴を開けて埋め込みます。または,鉄片をビニルテープ等で浮きにはりつけます。 B 透明アクリルパイプの一端を栓でふさぎ,水を満たします。浮きを沈め,空気が入らないように他端を栓でふさぎます。 ○製作の注意 @ テントウムシのマグネットは小さくても強力なネオジム磁石です。浮きの磁石との間には強い吸引力が働くので,ネオジム磁石の浮きに磁石を埋め込むときは,深さを調整し,テントウムシが筒の表面を滑ることができるようにします。浅いと動かないことがあります。 A 鉄片を浮きにはりつけるときは,鉄片の面積を変えて磁力を調整します。 B 浮きが小さいとテントウムシを上昇させることができません。大きすぎると浮力が強すぎてテントウムシを振り落としてしまいます。適当な大きさに調整します。 できるだけパイプにぴったりにした方が,磁石と鉄片や磁石同士の距離が一定になり,また水も浮きの外側をゆっくりすり抜けるので,実験しやすくなります。 C 水漏れしないように,栓はしっかりふさいでいるか確認しましょう。水漏れ防止用テープを使うのもいいでしょう。 |
発泡ポリスチレンのブロックを削って,容器に入る円柱にする |
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マグネットの中央のネオジム磁石。1つのマグネットからはこれを取り出す |
浮きの中央に穴を開け,取り出したネオジム磁石を固定する |
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○遊び方 浮きの中心の磁石の部分に,テントウムシをくっつけ,筒を鉛直に建てます。テントウムシが一番上まで行ったら,またひっくり返して筒を登らせます。 ○こんなことができます パイプの中に空気を少し(1cmの高さ程度)入れ,浮きが上に浮いた状態でさかさまにすると,浮きが沈んだままになることがあります。水圧が浮きの下から働かないと,浮力が生まれないことが学べます。 |
○開発の経緯 テントウムシは天道虫,瓢虫,紅娘(広辞苑)と書かれます。半球形,小型の甲虫で,背中に赤や黒の斑点があります。名前の由来は太陽に向かって飛んで行くことから,太陽を神格化した天道(お天道様)の名が付けられました。百円ショップの文房具売り場でたまたま見つけたテントウムシのマグネットが,のぼり虫の工作をしようと思ったきっかけです。 |