完成した「ペ・とんぼ」。当たっても痛くないように周囲は丸く切りましょう。 |
○こんな実験です 竹とんぼは工作の定番ですが,小さな子ども達でも手軽にでき,しかもよく飛ぶものをと思って作りました。厚紙のものは水に弱かったり,ひねりが戻ったり,軽すぎて飛ばなかったりします。ペットボトルで作ると,はりあわせることで重さもかせぐことができます。 ○こんなことが学べます プロペラで揚力を得るしくみや,どう工夫すると回転が続きやすいかが体感できます。また,2枚の羽根のひねり方で,高く飛ばすのと遠くへ飛ばすのとで,どうしたらよいかが分かります。羽根にきちんと垂直に棒を通して,しっかり固定すると安定して回転します。 ○こんな仕組みです 竹とんぼの羽根は基本的に飛行機の翼と同じ形をしています。よく,「飛行機の翼の断面の形で揚力が発生する」といった,素人の間違った解説が目につきます。日本の科学啓蒙書や新聞記事のほとんどがこの説明です。これだと背面飛行ができなくなることより,あきらかな間違いです。実際に下の方がふくらんだ翼の戦闘機もあります。揚力は空気に対する羽根の角度(向かい角)が大きく寄与しています。この角度は,竹とんぼを飛ばすには一番大切なことです。 また,紙で作った軽すぎる竹とんぼは空気抵抗に負けてすぐ落ちます。竹とんぼの周囲を重くする(慣性モーメントを大きくする)ことで,回転する能力を高めることができます。 竹とんぼは上昇する高さを競うときと,前方に飛ばすときでは羽根の角度を変えないといけません。この角度は羽根に空気がどのようにあたるかで決まります。強くひねると垂直上昇に向く竹とんぼになります。どうしてか考えてみましょう。 |
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軽い「ペ・とんぼ」。垂直上昇は得意だが回転も早く止まる |
3枚重ねたもの。安定した回転が続くため,長時間飛行に向く |
ペットボトルの板を重ねた様子。周辺ほど厚くすると慣性モーメントをかせぎやすい |
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ペットボトルの胴体から切り出して,右の型紙のとおりに描いた。斜線部分は使わない。塗装はダイソーで入手できる「プラチナ ペイントマーカー」が不透明できれいに仕上がる | 左の型紙(単位はmm)。左右のバランスがとれるように,定規を使ってていねいに描こう |
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○準備しよう 炭酸系1.5リットルペットボトル,バーベキュー串(28cm (株)イマニティ ダイソーで入手可能),瞬間接着剤,PET用接着剤(ボンド GPクリヤー (株)コニシ等),錐,はさみ,カッターナイフ,油性ペン(プラチナ ペイントマーカー等 ダイソーで入手可能) ○作ってみよう @ 炭酸系1.5リットルペットボトルの胴体部分から,型紙のとおりに材料を切り取ります。好きな色や模様を塗ります。 A 湾曲した下側(ボトルの内側)におもりを大きい順にPET用接着剤で貼り付けます。瞬間接着剤は早く付きますが,白く濁ります。 B 右利きの人は,左の図のように羽根をひねります。左利きの人は逆になります。 C 羽根の中央にきりで穴を開け,竹串を刺します。竹串は20cmくらいの長さにカッターナイフを使って切ります。瞬間接着剤で,羽根と串が垂直になるように接着します。斜めになると棒がバタバタと回って,長時間飛びません。 ○製作の注意 竹串の棒と羽根が垂直になっていることが一番のポイントです。飛ばすたびに調整しましょう。羽根のひねりも高く飛ばすか,遠くへ飛ばすかで調整します。 ○飛ばし方 右利きの人の飛ばし方を下に示します。右手を前方へ,左手を後方へすばやく平行にすべらして,棒を回転させます。 斜め前に倒すと前方へ飛びます。また,垂直にすると上方へ飛びます。羽根のひねりを調整して飛び方を比べてみましょう。また,時間や距離を測って競争しましょう。 ○気をつけてね 人のいない方向に向けて飛ばしましょう。 |
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上の図のように,右利きの人は中央部をひねり(折り)ます。左利きの人は逆向きにします |
飛ばし方(始め) |
飛ばし方(終わり) |
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中央に錐で穴を開けます。竹串より小さめに開けましょう |
○こんなこともできます 羽根の枚数を増やしたり,形を変えたり,重ねる枚数を変えたり,いろんな工夫をして飛び方をくらべてみよう。 ○開発にあたって 竹とんぼの工作を企画しましたが,大勢が太い竹を短時間で加工することは困難で,低学年や就学前の子どもにカッターナイフや切り出し小刀を使わせるのも危険なため,手軽なものをと考えました。厚紙のものもありますが,ひねりが戻りやすいのと,雨などで水に濡れると弱いという欠点があります。ペットボトルは重ねることで竹に負けない重さにすることができます。また,簡単にひねりが調整できるという利点があります。 |