圧電による雷の実験



高い木に落雷した様子。火花が青く映っている。開放撮影(数回放電させている)
○こんな実験です
ガスコンロの点火装置やガスライター,チャッカマン等に利用されている圧電発火素子を高電圧の電源として,小さな雷を発生させ,落雷の性質を実験します。
 
○こんなことが学べます
カミナリが雲建物のどのような配置のとき落ちやすいか,また,どのような形状のものに落ちやすい落ちやすいか,また,車の中は安全かなどを学ぶことができます。

○こんな仕組みです 
圧電発火素子は,強い衝撃をバネやラチェットの機構で圧電物質に与え,圧電物質の表面に誘電分極による高電圧を発生して火花を発生させるものです。この火花でブタンガスや都市ガスに点火します。ここではこの高電圧を利用して,アルミ箔の隙間に放電させます。

黒塩ビシート上にアルミテープで作った雲や地面,車,木などを配置し,圧電着火素子を配線する

圧電効果の原理
○準備しよう 
圧電発火素子,リード線,絶縁テープ,黒色塩ビシート,アルミテープ,はさみ

○入手のしかた
圧電発火素子:仮説社(ネット販売)が安価

○作ってみよう 
@ 圧電発火装置にリード線をむいた金属線を5,6回ぐるぐる巻きます(初めからアース線の出ているタイプもありますが値段が高いです)。
A @の金属線の上を絶縁テープでしっかり巻いて固定します。
B リード線の反対側を塩ビシートに貼るアルミシートで固定します。
C 雲や車,木,ビルなどをアルミシートをはさみで切り抜いて貼り付けます。
D 雲の上に圧電発火素子の金属部分を押しつけ,強く押して発火させます。
E 落雷の様子を観察し,気づいたことをメモしましょう。


○実験の注意
アルミシートの部分にさわると感電します。電流は少ないので安全ですが,注意しましょう。

圧電発火素子のバネの周辺にリード線の金属線をぐるぐる巻いてアースにする

絶縁テープで覆う

チャッカマンに使われている圧電発火素子

アルミシートの地面部分にアースの先端を入れ貼り付けるて

雲をアルミシートを切って貼り付ける
○開発にあたって
青谷地区公民館での理科ボランティア教室で広島の田中祐美さんに講師をしていただいたときの工作を再現したものです。田中さんは子ども達にビルや樹木を描く楽しさも伝えられていました。
興味深い実験なので紹介しました。


車を配置した作品

飛行機やビル,塔を配置した作品。いろいろな建物を配置したり,色を着けたりすると楽しく学習できる
自動車のアンテナに落雷した時の様子。
タイヤから地面に放電しているのがわかる。車内は静電遮蔽されているため,落雷時には安全な場所である。


☆ 発展
静電遮蔽について勉強しよう。どんなところに応用されているのだろうか。

また,車の上部につけた丸い部品にはなかなか落雷しない。これは,とがった部分ほど曲率半径が小さく,電荷が集まりやすいことを示している。風船を縮めたとき,風船の半径が小さくなり,曲率半径が小さくなって電荷密度が増大し,誘電体をひきつけやすくなる。  
蛍光管の一端をアース,他端を圧電素子を接触させ放電させると蛍光管が薄く点灯する
蛍光灯の点灯管であるグローランプの極板間に放電させて点灯させる。グローランプは透明タイプがよい