偏光板を用いた立体影絵



○こんな実験です
従来立体影絵には,赤と青のセロハン紙を透過した豆電球の光を物体に当ててスクリーンに影を映し,それを赤と青のセロハン紙で作ったメガネで観察して立体視する,アナグリフ方のものがありました。福井県のひげ北さんは,手製のドームに針金で自作した恐竜の骨を写しだして,ジュラシックパークのような迫力のある立体動画を映し出していました。
ここでは,赤青のフィルターではなく,偏光板を用いた立体影絵の方法を示します。これは青森県の野呂茂樹さんが開発したものです。影絵がダイナミックに飛び出してきます。物体を動かして楽しみましょう。

○こんなことが学べます
光が偏光の性質を持つことや,偏光板の使い方,立体視の原理を学ぶことができます。

○こんな仕組みです 
立体視をするには,右目と左目にそれぞれ少し異なる角度で入る像の光が必要です。
物体の影を左右視用に投影し,立体としてスクリーンの手前に浮き出る効果を出すためには,右目用の影がスクリーン上では左側に,左目用の影が右側に来るように,偏光板を配置します。
このとき,偏光メガネと光源の前に付ける偏光板は,左右の目用に,それぞれ光が透過する向きに揃えます。
スクリーンにはアルミ箔を貼り,自由電子の散乱によって偏光を活かします。アルミ箔を貼らないときは,偏光しない2つの影を見ることができ,立体視になりません。
左目用の偏光板を通るスクリーンの影は,物体の右側にあることに注目 右目用の偏光板を通るスクリーンの影は,物体の左側にあることに注目

偏光板による立体視の原理図

ホルダーライトは,集光用の凸レンズをはずす

うずしお科学館の偏光メガネ。ハの字状に左右の偏光板が配置されている
○準備しよう 
スクリーンとステレオ光源の型紙,偏光板,偏光メガネ(ここではうずしお科学館のものを利用),ホルダーライト(白色高輝度LEDライト)2個 ダイソー,像用の恐竜等,強力両面テープ,カッターナイフ,のり,はさみ

○作ってみよう 
@ ホルダーライトのレンズをとりはずします。これで均等に発散する点光源にします。
A 型紙を切り抜き,スクリーンにアルミ箔をスティックタイプの糊で貼ります。
B 型紙からステレオ投光器を切り取り,カッターナイフで偏光板を貼る穴を切り取り,偏光板を向きに注意して貼ります。
B 投光器を組み立て,強力両面テープを用いてホルダーライトを固定します。

スクリーンにはアルミ箔を貼り,偏光がいきるようにしている。アルミ粉末を含む塗料を塗ってもよい

投光器の台。偏光板は左右で向きが逆になる。台上には強力両面テープを貼っている

例えば右目用の偏光メガネの偏光板を通して見ると,正面から見た投光器の右目用偏光板は暗く見える。偏光板はハの字状に貼り付けてあるため,投光器を180°回転させると偏光面が揃い,光が透過する

ステレオ投光器とスクリーンの型紙
○観察しよう
ホルダーライトのスイッチを入れ,点灯します。ホルダーライトは少し内側を向くようにセットし,30cm程度離したスクリーンとの間に,影を作るための像を置きます。
スクリーンに生じた影を,偏光メガネで観察します。
像を上下に動かすと,立体感が分かりやすいです。


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