天使の矢


○こんな実験です
天使の放つ黄金の矢に射られた人は、その後最初に見た異性を好きになるそうです。そしてその話の続きとして、天使の鉛の矢に射られると百年の恋も覚めてしまうのだそうです。そんな夢のある知恵の輪のようなおもちゃを作ってみましょう。ハートに開けられた小さな穴を,どうしてより太い矢じりが通り抜けたのでしょうか。

○こんなことが学べます 
木は水を吸うと柔らかくなることや,水を十分吸った木は圧縮すると縮み,さらに水を吸って元に戻ることが学べます。

○こんな仕組みです 
水を十分吸った板は,木の各細胞が水でふくらんで柔らかくなります。これを強い力で圧縮すると,細胞から水が抜けて縮みます。


○準備しよう 
杉板材(矢:3cm×1cm×15cm,ハート:5cm×5cm×1cm),圧力鍋,万力,鋸,木工用ドリル,サンドペーパー

圧力釜で材料を煮る
○作ってみよう
@ 杉の柾目の整った板材を使い,繊維の方向に沿って,矢の形に鋸で切断します。また,ハートを切り出しますが,その中央には,矢の軸の太さの穴を木工用のドリルで開けます。
A 矢じりの部分に水をしみ込ませます。ここでは圧力鍋で30分間煮こみました。
B 矢じりの部分を万力で矢の軸の太さまで圧縮します。
C ハートの穴に矢を通し,矢じりの部分を水につけて元の大きさに回復させます。(1日つけておきます)
D 矢じりの部分が十分乾いてから,先をとがらせて形を整えます。水がしみ込んで色が黒ずんだ所などは,サンドペーパーできれいに磨きます。
 
○製作の注意
@数日間,矢じりの部分を水につけておいても,やわらかくなります。この際,水は腐りやすいので毎日交換します。
A矢じりの部分を元に戻すとき,熱い湯を使うと早く戻ります。
万力でやじり部分を圧縮してつぶす
圧縮した矢じり
○遊び方 
どうしたらハートの狭い穴を矢が通るのか,聞いて遊びましょう。

○こんなこともできるよ 
軸に輪をたくさん通したり,オリジナルのおもちゃを作ってみましょう。
○開発にあたって
秋葉原の駅前の露天でいつも見かけるものに、矢の刺さったハートがあります。どうして作ったのかとても興味深いものでした。深海の圧力でつぶしたのかなとかと思っていたら,鳥取県の高校教育フェアで,智頭農林高校が出し物として配布していました。鍋で煮て万力でつぶす作り方は,元小学校校長の佐々木完爾氏に教えていただきました。半日煮ているとのことで,圧力釜で時間短縮をしました。また,水が腐らないように毎日取り替えながら,何日も漬けておいて,木を柔らかくしたり,さらに食品ラップをかけて電子レンジで熱を与え,加工しやすくしたりする方法もあります。