実験3の装置。乾電池の両端にネオジム磁石を同一極を向き合わせてくっつけ,銅線のループ(閉回路)を磁石の側面に乗せる |
○こんな実験です 乾電池の両端にネオジム磁石を同一極を向き合わせてくっつけ,金属板上に乗せたり,銅線のループ(閉回路)を円盤型磁石の円周面に乗せたりすると走り出す車の実験をします。 ○こんなことが学べます ネオジム磁石上を流れる電流と,ネオジム磁石による磁界により,フレミングの左手の法則にもとづく電磁力が発生し,磁石上の針金を動かそう力が生まれ,その反作用で磁石と乾電池が回転することが分かります。 ○こんな仕組みです ネオジム磁石の成分はNd2Fe14Bで電気抵抗率:1.3x10-2Ωm,メッキ部分のニッケルは6.99 × 10-8Ωmとあり,電流はニッケルメッキ部分を通して銅線へ流れます。この銅線をネオジム磁石が作る強い磁界が貫くため,電流と磁界による電磁力が,フレミングの左手の法則にしたがって銅線に生じますが,銅線は動きにくい構造なので,その反作用が,一体となった磁石と乾電池を回転させる力(もしくは力のモーメント)になります。 ○動画を見る 実験1 乾電池を銅板に乗せたときの運動 実験2 乾電池の後方に閉回路を作ったときの運動 実験3 乾電池の前後に閉回路を作ったときの運動 |
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実験2の装置。閉回路を進行方向の後ろ側に持ってきたもの |
乾電池側にN極を向けたときの磁力線分布を磁界観察槽で見る。磁石の周囲にNからSへ向かう強い磁界ができている。また,乾電池の側面も弱いN極になっている。 |
ネオジム磁石の断面。ニッケルメッキが施されている |
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〇実験3の装置の原理 ・電池からネオジム磁石の表面のメッキ部分を通って,電流は正極側は上向き,負極側は下向きに銅線へ向かう。 この電流を横切る磁界は,NからSへ,電流を直角に水平面に横切る。 ・電磁力が電流(銅線)に働き,銅線は固定されていると考えると,反作用が磁石に働き,反時計回りに回転する。 乾電池の前後に閉回路をつくると,電流が多く流れるため,電磁力も大きくなり動きやすくなる。また,前後の銅線にはたらく重力のバランスがとれる(上橋智恵さん解説)のも動きやすさに寄与している。実験3で動きを確認しよう。 |
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ネオジム磁石の作る磁場と,電流の回りにできる磁場を左図に示す。 これらの合成磁場を右図に示す。 磁力線は縮もうとする性質を持つため,電線を下向きに押す力が生まれる。 ネオジム磁石の磁場と電流の作る磁場は相互に力を及ぼし合うため,どちらかを固定すると,反対側が動く。 |
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○準備しよう 円盤状ネオジム磁石(電池の半径より大きい物,ダイソーのものは4個使用),銅線0.5〜1.0mm,単4電池,ガラスビーズ数個,銅板またはアルミホイル,ペンチ ○入手のしかた ネオジム磁石:ダイソーの「超強力マグネット」 ○作ってみよう @ 方位磁針でネオジム磁石の極を確認し,N極が内側を向くように乾電池の両端に磁石をくっつけます。ダイソーの磁石では片側2個一組にします。 A 銅線にビーズ玉を通し,ペンチで曲げて閉回路を作ります。 ○実験方法 実験1 @を平らな銅板やアルミホイルを机にセロハンテープ等でとめ,その上に置くと動きます。 実験2,3 @のネオジム磁石の上にAをそっと乗せると動きます。 ○実験の注意 @大きな電流が流れるので,銅線と電池が熱くなることがあります。発熱に注意しましょう。 A電池の消耗が早いので,充電式電池の方が経済的です。 |
金属板上に置いたときの電磁力による回転の説明。電流は乾電池の直下の金属板を,正極から負極に向かって流れる。電池側のネオジム磁石とアルミ箔の接点付近のの磁界は,アルミ箔を垂直真下に横切り,アルミ箔を動かす力が左方向に生じる。アルミ箔は固定されているため,磁石とアルミ箔の接点に反作用によるトルクが反時計回りに生じる。実験1で動きを確認しよう |
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○開発にあたって この車は姫路の上橋智恵さんから紹介いただきました。You-tubeにアルミ箔の上を進むものと,針金を後方に乗せたものが紹介されていますが。この原理を二人で数週間検討しフレミングの左手の法則や,モーターの原理が学べる興味深い教材だと思います。 |
ダイソーで販売されているネオジム磁石を使用 |
銅線を加工し,摩擦軽減のため,ビーズを通した |