ゼーベック効果で発電してモーターを回す熱電車 ペルチエ素子の一方は熱湯に,他方は氷水に接触させる。この温度差が起電力に関係する |
○こんな実験です 熱湯と氷水をペルチエ素子の両側に入れ,温度差で発電し,モーターを回して走る車を作ります。 ○こんなことが学べます ゼーベック効果やペルチエ効果を,遊びながら体験することができます。プーリーによって,モーターの回転を落とすと強い回転力が得られることが分かります。 ○こんな仕組みです 2つの異なる金属の接点に温度差を与えると,金属間に電圧が発生する現象を,ゼーベック効果といい,1821年、ドイツ人科学者ゼーベックによって発見されました。ペルチエ素子は半導体を用いて効率を高めたものです。この電圧をモーターの両端にかけることにより,車を走らせます。 逆に電流を流して一方の面は低温に,他方は高温になる現象をペルチエ効果と呼びます。 ペルチエ素子は,コンピュータのCPUや小型クーラーの冷却装置として,温室効果ガスを出さない,脱フロン時代の環境に優しい装置です。 |
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元の車体はダイソーのミキサー車。コンクリートミキサーの部分をはずし,台を平らにする |
自作プーリー。スチレンボードを2枚の厚紙ではさみ,細丸やすりで溝を切った。輪ゴムはあまりきつく張らない方がよい |
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○準備しよう ペルチエ素子TESI-12705(3cm×3cm),車体,スチレンボード,ビニル袋2枚,半田,半田ごて,プラスチック用接着剤,カッター,定規,厚紙,木工ボンド,両面テープ,輪ゴム 丸やすり ○作ってみよう @ ペルチエ素子が中央に立つ水槽を,スチレンボードで作る。 A ペルチエ素子が中央に立てるようにスチレンボードを加工し,水が漏れないように,ビニル袋を水漕の内側に密着させ,両面テープで貼る。 B スチレンボードからサークルカッターで円を切り出し,同じく円を切り出した厚紙を両側に貼り,溝を丸ヤスリで削ってプーリーとする。 C プーリーを車軸とモーターの軸に取り付け,輪ゴムをベルトとして回転の調整を行う。 B 両面テープで水槽とモーターを車体に固定する。 |
ペルチエ素子 TESI-12705 秋月電子 \700 |
上から見たところ。水槽の上側が氷り,下側が熱湯 |
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○製作の注意 @ ペルチエ素子のどちら側の面を湯または氷水に接触させるか,あらかじめ調べておく。また,モーターとも接続し,車が前進するようにする。 A プーリーにかける輪ゴムは,強すぎず,弱すぎずなので練習が必要。 ○動かしし方 あらかじめ氷水を水槽の低温側に入れ,沸かしたての熱湯を反対側の水槽に入れると動作する。 ○気をつけてね 車が暴走し,水槽の熱湯や氷水が,人や電子機器にかからないよう注意しよう。 ○こんなことができます。 ペルチエ素子に電流を流すと,片側がヒーター,反対側が冷却器となります。これをペルチエ効果といいます。ここで使った素子は最大12V,6Aまで流すことができます。 ○開発にあたって 中村理科がゼーベック・カーとして売り出していますが,ここでは安価なものを開発しようとして取り組みました。今回は800円程度で製作できました。価格のほとんどはペルチエ素子です。 |
動画を見る 2つの水槽の温度差が大きいほどよく走る。氷水はあらかじめ入れておき,沸かしたての熱湯を注ぐと発進する |
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電流を流すと,吸熱側から発熱側へ熱を移動させる素子を直列に接合している。サーモ・モジュールはN・P型の半導体で構成され,熱放出量は電流に比例する。N→P接合部で吸熱,P→N接合部では放熱となる |