表面張力船の原理


  最近は見かけなくなりましたが,祭りの縁日で,昔はよく樟脳の船が売られていました。後ろに樟脳を乗せただけですいすい走ります。この船の推進には,樟脳でなくても,水の表面張力を下げる物なら何でもいいです。
  エチルアルコールをスポイトで,船の後ろにたらしてやると,おどろくべき速さで走り出します。競争するときの奥の手になりますね。兵庫物理サークルの浮田さんは,接着剤で実験しています。これも石鹸と同じように手軽に入手できる材料です
図1 船の後部につけた接着剤の部分だけに,水の盛り上がりが観察できる。
 図2は原理図です。接着剤の部分は表面張力が減り,水が盛り上がって,溶けた接着剤が後方に流れていくのが観察できます。後方の表面張力が弱く,前方は後方より強くなって,船は前方へ引かれます。
 ちなみに表面張力とは,液体が表面積を最小にしようとして縮まろうとする力です。シャボン玉は水だけだと大きくなれません。石鹸を溶かして,表面張力を小さくしてやると,縮まろうとする性質が弱くなって,大きくふくらませることができます。

図2 原理図

図3 おもりを乗せた船は一様に沈み,周囲の水は発泡ポリスチレンの船に塗れないように凹む。

図4 後部(右)に付けた接着剤に塗れて,水が盛り上がっている。

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