○概要 科学館や博物館のお土産コーナーなどで,凹面の球面鏡の上部が空き,10円玉が浮き出して見える装置が売られています。「ボルマトリックス」という商品名でアメリカで開発され,日本のゲーム機メーカーも大型ディスプレイ用などに売り出しています。ここでは,お玉を使って手軽に作れる立体鏡を紹介します。 ○こんなことが学べます 幾何光学の基本である,反射の際の光線の作図方法や,球面鏡を用いた立体視の原理を学ぶことができます。 |
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○こんな仕組みです コインから発した光は,球面鏡の上部で反射し,次に下部で反射します。この光線が来る方向に目を持ってくると,コインがその方向にあるように見えます。コインの1つの部分から発した光は,右目と左目にはわずかに異なる向きでやってくるため,立体感が出て浮かんで見えます。 |
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○準備しよう お玉(一様な凹面になっているもの)2個,かまぼこの板3枚,木工ボンド,ドリル,テーパーリーマー,円錐キリ,ペンチ,金属磨き ○入手先 お玉,テーパーリーマー,キリ:ホームセンター ○作ってみよう(図1) @1つのお玉の底の中心にドリルで穴を開け,リーマーで広げた後,円錐キリで丸く整えます。 Aこのお玉を柄の部分で折って切り取り,凹面を金属磨きで研磨します。 Bもう一方のお玉は柄を折り曲げ,凹面を金属磨きで研磨します。 Cカマボコ板を木工ボンドでコの字型に張り合わせ,台とします。 D柄を折り曲げたお玉でかまぼこ板をはさんで固定します。 ○製作の注意 @テーパーリーマーで穴を広げるときは,ゆっくり均等に削るようにしましょう。力を入れすぎると角張ります。 Aしっかり磨くほど,リアルな虚像が観察できます。 ○製作の注意 @お玉は底が平らなものや,いびつなもの,底の曲率が周囲より極端に大きくいものは,できる立体像がゆがんで使えません。 A切り口は丸めて,けがをしないようにしましょう。 ○遊び方 コインを底に置き,穴の空いたお玉でふたをして,穴を観察します。見る位置やコインを置く位置を調節して,できるだけ浮き上がって見えるようにしてください。 |
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○こんなこともできるよ @現在中華鍋を2枚使い,より大きなものを立体視できる装置を製作中です。 Aいろんなお玉や凹面鏡になるものをさがして,試してみてください。また,どのような見え方になるか比べてみましょう。 |
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○開発にあたって 原理が分かれば,いろんな材料で作ることができます。お玉やスプーン,鍋や鍋のふたなど台所には手軽な凹面鏡がたくさん見えます。ここではお玉で作ることを試みましたが,いろんな材料で性能のいいものを試作してみてください。 |