曼陀羅

 【12月28日】

 昨日からの雨が降り止まない。
 去年のバリでもことごとく雨に祟られたが、このネパールでもそうなのか。「誰か雨を連れてきたのかなぁ。日本から連れて来たのかなぁ?」と困り顔のガイドさん。予定されていた、古都パタンと信仰の町バクタプルの1日観光も思うようにならない。パタンもバクタプルも、道はレンガ。そこに土と雨が流れ出て、道はどろどろだ。とても町の風景をスケッチするどころではない。とにかく、雨をしのいで見て回れるところはないか。ガイドさんが連れていってくれたのは「ラリトプル」のクラフト工房。曼陀羅や仏像の制作をしている。曼陀羅は、もちろんそのひとつひとつが手描き。綿布に加工したものをキャンバスに、顔料で描いていく。シャープペンシルで下書きってのに、思わずにっこりしてしまう。細かい作業なので1日3時間が精一杯。目輪やられてしまうのだそうだ。一枚仕上げるのに、かるくひと月はかかるらしい。思えばスケッチする私たちも同じ。「ささっとスケッチ・・・」なんてよく言うけど、とても「ささっと」とはいかない。描き込むにはばどうしたって時間は欲しい。それに描いていれば時のたつのも忘れて没頭してしまう。どこでだったか、「じゃここで10分間スケッチします。よ〜い始め!・・・・ハイ終わり!」ってことがあった。これはいただけない。

 ところで、バリのバティック工房でも感じたのだが、細かい作業をするわりには、手元の照明も心細く、部屋全体も暗い。お国の電気事情が思われる。今回の旅で私は2枚の曼陀羅を買い求めた。思うに一番お金を使った分野だったかもしれない。

曼陀羅を描いているところ。寒いのに暖房器具がない。

日本から曼陀羅を描きに来る人もいるそうだ。