ブラッセル日本人幼稚園

 降りやまない雪の中をひた走り、予定時間を大きく遅れてブリュッセルに帰り着く。ホテルで私たちを待っていてくださったのは、ブリュッセルで日本人幼稚園を経営なさっているご家族。今夜は、この幼稚園を訪問して新年をお祝いすることになっているのだ。メトロに乗って出かける。街はすでに年末の人混みでごったがえしている。みんなにはぐれないように歩くがせいいっぱい。「こちらですよ。」えっ?ここ?だってふつうのおうちだよ?

 私たちを迎えてくださったのは、園長先生のご家族、理事長先生のご家族、そしてこの幼稚園を支えているスタッフのみなさん。用意してくださったのはなんと手巻き寿司&おでんなどなど・・・。ベルギーに来て納豆巻きやおでんやお新香が味わえるとは。食材を手配するのにずいぶんご苦労をおかけしたのではないかしら。

 中に招かれて、わっ!可愛い!!手作りシールの貼られた靴箱にお道具箱、壁にはお誕生表、折り紙の壁面飾り、絵本コーナーもあって、やっぱりここは、幼稚園。日本を離れてきてまで、職業意識を丸出しにしなくても・・・と頭の隅で思いながらも、しっかりチェックしてしまってる自分がいた。

 ここの園児さんは日本人の方。週に2回ほどベルギーのこどもさんとの交流もしておられるそうです。現地の環境になかなかなじめないお子さんも、ここに来るとしだいに元気になるとか。う〜ん、わかるような気がする。ここには、日本の文化がちゃんとある。

 あれ?ひとつないものが。「園長先生、ここピアノないですね。」

 保育室にはピアノとまではいかなくても、何か鍵盤楽器の置かれている風景が当たり前になっていたので、思わず聞いてしまった。

「はい!歌を歌うときには、これで。」と園長先生が取り出したのは12弦ギター。

「ピアノでジャンジャン伴奏すると、子どもの声をかき消してしまうことってないですか? 歌うにはやっばり、これとぼくの声ですよ。」あれれ、この園長先生、私と同じこと感じている。じつは私も同じ理由で、少人数での保育の歌はギターで歌うことが多い。なんだか妙に嬉しくなってしまった。


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