バリは雨季 2

                 

 バスに乗り込んで、初日お目当ての「バリ博物院」へ。キミコ方式で絵を続けているおかげで、この頃どこの土地へ行っても、美術館・博物館で楽しむことができるようになってきて、嬉しい。ところが、「バリ博物院は、今日はお休み。そういうこと。アートセンターなら、2時までOKね。」

 オオッ?! オプションじゃなく、旅行会社からのスケジュールにあらかじめ載っているもが、こんなにも簡単にキャンセルかい??急いでとって返しアートセンターへ。が、美術館にはイマイチよく解らない理由で入ることができず、庭だけを散策することに。ニューイヤーコンサートの準備だろうか。野外ステージが組まれ、ロックバンドが演奏している。ヒンズー教の石像に囲まれた空間で、ギンギンのロックミュージック。たまらんなぁ!こういうの。

 アートセンターの一角で、スケッチを。一時間ほどすごす。「時間です。そろそろ」の声に重なって、遠雷が聞こえる。「来るぞ!」こういうときの勘は、海遊び・山遊びのおかげでずいぶん鍛えてある。数分後にはスコールが来る。果たして、バスに乗り込んだときには、土砂降りになった。濡れずにすんだことを喜びあっているうちにふと気付くと、お気に入りの黒のカーディガンがない。リュックのホルダーにはさんだだけだったので、落としたのだろう。ああ、かのカーディガンは、今もバリの地に。私の代わりに、永住することになってしまった。これもまた、妙な気持ちである。

それからの行程は、ただ、雨・雨・雨・・・・。写真を撮ることも、絵を描くことも難しい。

写真は雨のメングイン寺院

                

 断崖にたつ寺院タマン・アユンを目指し、私たちのバスは急な坂を上って行く。  

 ここは、雨でも観光客はつきないらしい。その理由は、に会えるから?ガイドさんからは、「メガネのお客さま、お気をつけください。いたずら好きの猿たちです。」沿道はおびただしい数の猿の群だ。本来ならば、正装をして入って欲しいところのようだが、観光客は略式。黄色い帯を腰に巻いて、参道を海へ向かって歩く。                 

 山門の横には「生理中の女性は、参拝をご遠慮ください。」と各国の文字で書かれた看板も。ほぉ、ヒンズー教もそうなのね。断崖の寺院に向かっている途中、ハプニングが!!

 連れだって歩いていた仲間の「ひゃ〜」の悲鳴に振り向くと、さっきまでとなりを歩いていた彼女の背中に猿が飛び乗っている。背中からメガネを狙っていたのだ。ガイドさんをはじめ何人かが猿を振り払い、私たちは猿の来ない場所へ足早に移動する。動揺しているメンバーを連れての観光は、これ以上続けられない。夕陽の名所ウルワツ寺院もこの雨ではまず夕陽は見られないだろう。そんなわけで、私たちは観光をうち切り、夕食までをホテルで過ごすことにした。