観光地として開けた一帯を一歩、林の中に入れば、高床式の住居が、あちこちに点在する。道路もメインストリートを曲がれば、土埃舞い、雨季には泥川となってしまうような道。ここは、なまじ車で走るより、バイクで行くのが正解かもしれない。路肩が弱いので、対向車とすれ違うのも慎重になる。ガイドさんが「う〜ん、だいたい1時間くらいね。」という道も、たいていその倍くらい時間がかかっている。揺られ揺られて、森本さんが関わっているプロジェクトの村に着く。現地の人たちとともに、ジャングルを開墾し桑畑・綿花畑と2つの集落を持っている。戦で壊されてしまった織物をささえた自然環境を回復し、昔の村の風景を継承してくのだそうだ。いずれ、ここで、織物に関するすべての作業をやりたいと、熱く語っておられた。
左の写真は、川沿いの村。右の写真は、伝統の森のにある高床式の建物。
庭の木陰に座らされたベビーが泣き始める。母親はどこ?みんな畑の手入れに勤しんでいる。おしっこかなぁ、おっぱいかなぁ、ねむいのかなぁ・・・こんなところに来てまで、私もお仕事しなくてもいいのになぁ・・・でも、あ〜、よしよし・・・・とついつい抱き上げてしまう自分は、やっぱり保育者なのだ。そのうち仕事を一段落させた若い女性がやってくる。どうやらベビーの母親らしい。お尻をさっぱりと洗ってもらって、ご機嫌のベビー。しばらくすると、あの若い母親の歌声が聞こえてきた。子守歌を歌っているのだ。声のするほうに目をやると・・・ハンモックをえらい勢いでぶんぶん揺すっている。オイオイ、これじゃおちおち寝てられない思うのは日本人の感覚らしい。シェムリアップに来てから何回か寝かしつける光景を見てきたが、揺りかごやハンモックをゆするスピードは日本よりもずいぶん早い。見ているだけで、こっちが酔ってしまいそうだ。母親だけでなく、年の大きい子どもたちが代わる代わる、ハンモックを揺すってあやしたり、寝かしつけたりする光景は、微笑ましい。こんなところで、保育の仕事できるといいな。でもこんなに家族やご近所が、幼子をしっかり見守っていたら、保育園はいらないか?村全体が保育園みたいなものだもの。