平成19年2月定例会代表質問(平成19年2月23日)No.11

2.県政の諸課題
<学校給食費の未納について>

 私は以前の議会の一般質問でも申し上げましたが、受けていた奨学金も家の生活費に回され、高校に行きたくても授業料が払えないからやめざるを得ないという高校生を見てまいりました。まさに本人の力ではどうしようもない社会が存在していることを心が痛む思いで学ばせていただきました。ようやく今さらながらという部分がありますが、全国的な話題となっている学校給食費の未納問題。私はある意味では、まさに今日の教育問題を象徴している問題であると思っております。

 平成17年度に鳥取県内の小中学校で、給食費の未納者は全体の0.9%に当たる458人、未納総額が1,172万円に上ると県教育委員会から発表されました。問題と思われるのは、この給食費未納に対する認識です。保護者の経済的な理由での未納者は、未納者の33.6%、保護者の責任感や規範意識の問題と思われるものが何と60.3%。まさに保護者としての責任放棄と言っても過言ではない実態だと思います。未納者である保護者の中には、義務教育だから給食費を払う必要がないと言われる保護者もおられるようです。学校給食は学校給食法に基づいて実施されており、給食費については保護者の負担とすると、はっきり明記されております。この学校給食は発足当時の欠食児救済から、現在では食を通して総合的な教育をする食育と大きく目的を変えながら、子ども達の肥満対策、偏食や朝食抜きの子ども達の栄養確保と目には見えない重要な部分を担っております。こうした状況の中、学校給食費の未納問題について教育長としての認識並びに県教委として今後どのような対応を考えておられるのかお伺いします。

●中永教育長答弁


 昨年の11月に県内の公立小・中学校の平成17年度末の時点での給食費の未納状況を調査して、県として把握したところです。お話がありましたように、未納者の数は458名で、全体の0.9%です。未納額は1,170万です。全体の0.5%です。学校の認識、学校の把握ですけれども、未納者の内の60.3%が保護者の責任感や規範意識に問題があるというふうにとらえています。

 ただこの問題につきましては、給食の実施者である市町村の教育委員会が、主体的に取り組むべきことというふうなことですので、それでもあえて感想を申し上げると非常に残念だなと思っています。特に、子ども達の手本となる大人の生き方という点において非常に気になると思っております。そういう意味で県の教育委員会としては、このたびのことを未納問題を解決する糸口に少しでもなればという意味もあり、今回調査をして、市町村の教育委員会にも調査をして、あわせて発表をしたということです。

<学校給食費の未納について>2

 やはり未納問題は保護者の意識の低さが浮き彫りにされた問題だと思っておりまして、昨今当たり前の道理が当たり前に通らない社会になっていることを学校側も認識する必要があると考えております。対応としては、特に学校入学時に学校給食のねらい、意義というものをしっかりと保護者に説明し、当然に費用負担についても理解していただくことが必要でないかと思っております。このことについて教育長の御所見と、学校給食の実施主体である市町村教育委員会のアドバイスとして何か問題の解消に向けた手段がありましたらお伺いしたいと思います。

 また、滞納となった給食費の徴収が学校現場では大きな負担となっていることも調査結果からうかがわれます。電話や文章での督促、家庭訪問での督促、来校時の面談、あげくは法的措置と、現場の教師の本来業務でない問題で時間を割かれております。この給食費の徴収業務の責任について改めて明確化すべきでないかと思いますが、教育長の御所見をお伺いします。

 さらに未納に伴う欠損分の対処方法として、未納生徒458人のうち41件については、学校の先生や給食センター所長が責任を感じてか滞納分を負担や立てかえをしたと報告されております。しかし、これは不適切な行為であり、即刻やめるよう指導すべきと思いますが、教育長の御所見をお願いします。

●中永教育長答弁

 給食費の未納に関して保護者への説明と市町村の教育委員会のアドバイスはないかというお尋ねです。給食費の未納については、さっきも述べましたように学校給食の実施責任者である市町村の教育委員会が主体的に取り組むべきものと考えております。ただ、その給食ですけれども、教育の目的ということもありますので、御指摘のようにその給食の役割を十分保護者の方に説明するということは大事なことではないかと思っています。しかしながら今の意義を伝えることと、給食費を滞納しないと、きちんと払うということとは別問題ではないかと私は基本的には考えております。保護者として子どもの給食費を払うというのは私は当然の責務だと考えております。

 それから、市町村教育委員会が取り組むに当たってのアドバイスということですが、これは経済的に困っていらっしゃる方、その保護者の方には法的な支援制度というのがあります。生活保護による教育扶助ですとか、就学援助制度ということをまだよく御存知でない方もありますので、こういうことの利用を促していくことも大事だと思っています。これにつきましては、先般市町村の教育委員会の方に通知等で詳しくそういう制度のことについてもお示ししたところです。給食費の徴収方法は、市町村によってさまざまです。例えば、町の共同調理場の方で対応されるとか、学校やPTAで組織した協議会で対応されるとか、それから学校そのもので対応されるとかいろいろあるようです。しかし、最終的には、繰り返しますけれども市町村の教育委員会で責任を持って当たっていくべきものだと考えております。校長や担任等が立てかえている例もあるとさっきおっしゃいましたけれども、私もそう聞いておるところですけれども、好ましい対応ではないと思っております。県の教育委員会としても、教職員がそういうことにかかわらないように、気持ちはよくわかります、子ども達を思ってということはよくわかりますけれども、そういうことは好ましくありませんので、またいろいろ市町村の教育委員会の方に話をしていきたいと思っています。