平成19年2月定例会代表質問(平成19年2月23日)No.12

2.県政の諸課題
<道路の高速化に伴う対応について>

 今県内では中国横断自動車道姫路鳥取線、山陰道を初め地域高規格道路である鳥取豊岡宮津、北条湯原、江府三次など基幹道路の整備が急ピッチで進められております。すべての道路が共用開始するまでには、まだしばらく時間が必要ですが、これらの高速道路網が完成した暁には、全県を通じて自動車社会の高速化が一層進むわけです。人、物、物流の促進に大きな期待が寄せられている反面、道路周辺の交通事情、生活環境も大きく変化することが予想されます。新設される道路本体に対する信号、横断歩道などの交通安全施策の整備を初め、道路周辺の安全対策もあわせて見直さなければならないと思います。

 道路の安全対策について、道路を整備する関係者の皆さんとそれらに対応する県警の皆さんで事前にどのような協議がなされているのか、県警本部長にお伺いしたいと思います。

 また、近年の犯罪は高速道路を使用した犯罪の広域化、例えば他県から越境してきて県内で犯罪を起こし、稼ぐだけ稼いで県外に逃亡する。いわゆるヒット・アンド・アウェー型の犯罪がふえていると聞いております。高速道路の整備の進捗状況に応じて、これらの事件に対応するために、隣県との協議並びに捜査体制のあり方についても見直しが必要かと思いますが、その取り組み状況についてあわせてお伺いいたします。

●吉村警察本部長答弁

 交通対策といいましょうか、道路が整備される際の安全対策として、道路管理者とどういった事前の協議を行っているかという御質問でした。新しく道路つくる場合、できる場合には法律的にも道路法とか高速自動車国道法におきまして、必要な事前の協議、これはもちろん道路管理者と公安委員会ですが、事前の協議とか、さらには必要な意見聴取の手続き等の規定があります。そういった規定もありますが、一般的には実際は当然ながらそういった法的手続きを踏んだ協議も行いますし、さらにはそういった協議ばかりではなくて、慎重なその余の細かな検討、さらには地方性など事前の連携を十分に図っているという実態があります。

 具体的には新しい道路の、新しくつくる方の道路の安全対策としては、例えば道路管理者からは区画線の設置とか、あるいはまたインターチェンジの形状とか、さらにはパーキングエリア、これについてのいろいろな細かな点についての協議、あるいはまた警察公安委員会からはもっともやはり重要視していますのは、最高速度規制などの交通規制についての検討。またどうしても新しい道をつくった場合には、今ある道との連結部分の接点における交通安全施設の整備とかそういった点について相互に検討して必要な措置を講じているという実態です。

 また、このような事前の協議以外には交通安全施設の整備に関する地元住民の要望がたくさんあります。そういった要望についての意見交換、また供用開始に向けての必要な啓発活動のあり方とか、また新しい道で仮に大きな事故が発生した場合の対応の仕方、また役割分担、そういう点につきあらかじめ情報交換を行っております。

 また先ほど議員からも御指摘がありましたが、周辺の安全対策につきましても検討してみて、新しい道が共用開始すれば大抵の場合にはその周辺の環境にも大きな影響を与えます。特にアクセス道路については、かなり交通量が変わってきますので、そういったアクセスの道路についても、付近住民に対して大きな影響を与えないような、特に安全施設整備というものが必要でしょうから、そういった整備の検討とか、さらには交通規制の必要性というものも十分に考えた上で、新しい道路が開通するまでの間に、そういった対策を講じているという実態があります。今後とも住民の声は十分に聞きながら道路管理者と緊密な連携を取り、交通安全の確保を図っていきたいと考えています。

 道路の高速化に伴って出てくる事件の捜査体制は十分かという点です。伊藤議員の御心配のとおり、確かに近年の県内における事件を見てみると、大阪とか兵庫、あるいは名古屋、県外居住の犯人が車を利用して、県内に入りこんで連続的に犯行を行って素早くまた居住している県に帰るといった犯行が大変多いという実態があります。昨年検挙した事件で例をとれば、名古屋を生活拠点としたトルコ人グループの、これは自動販売機荒らしでしたが、郡家署で検挙したのですが、県内で判明した事件だけでも3警察署管内で101件の犯行がありました。いずれも犯行後にすぐに名古屋に帰っているという実態があります。

 また大阪を生活拠点とする中国人グループによります、これは去年もいろいろ県議会で激励いただきましたが金庫破り事件。これは早期に職務質問で検挙されましたので、県内犯行件数は9件でした。これもやはり4警察署で9件ありましたが、恐らく検挙がなければかなりたくさんの発生があったと思われますが、こういった事件が今後恐らく高速道路網が整備されれば、さらにふえるということが懸念されます。

 また逆に鳥取県の方が他県に行って犯行をすると、そういうこともあると思うのですが、どっちかと言えば県内の方が環境的には、若干横道にそれて恐縮なのですが、鍵がない、いぜんとして鍵をかけてないといった実態が当県内たくさんあります。そういった点からいってやはり犯行しやすい環境がありますので、このような当県内に入ってきて犯行を敢行するということは、十分に予想されます。

 そこで現在もそうですが、広域犯罪への対応としては、やはり他の県警との連携が必要だということは十分に認識を持っております。今も関係警察本部間における会議とか、さらには県境を抱えた警察署間の細かな具体的な対応策、そういった会議を開いたり、さらには事件の発生状況を平素から細かく県間で情報交換するといったことをやっております。さらには両県間、特に隣接県ですが、事件が起こった場合に初動措置が取れるようにということで、具体的な事件を頭に置いた実践的な訓練もやっています。引き続き今後もこういった事案がふえることが予想されますから、道路整備の進捗の状況も見ながら具体的な行動を取っていきたいと考えています。

 なお捜査体制についても御質問がありましたが、この場で詳しく申し上げることはできませんが、これまでも道路網の整備に伴って犯罪発生の変化があった場合には、それに警察力が追いつくようにということで、自動車警ら隊とか、機動捜査隊、こういった態勢強化を図ってまいりました。今後もその進捗、道路進捗の状況と必要な態勢ですね、これは十分に見て対応を取っていきたいと考えています

<道路の高速化に伴う対応について>No.2
 道路の整備に伴いあらゆる問題が発生してまいります。特に、新たなる高速道路を中心にした交通機動隊の編成など、これからも検討課題に挙げられてくると思います。そうしたときに、職員の増員等そういう問題が出てくると思いますけれども、県警本部長として増員などについてどう考えておられるのかお伺いしたいと思います。
●吉村警察本部長答弁

 まず取り締まり部隊の編成ですが、私、来ましてから年々新しい道路が開通するということで体制をどうするか、これ検討してまいりました。ただ、将来的にはつながるということがあった場合については別なのですが、個々逐次整備される場合には、短距離、短区間の専用道路等があちらこちらでふえます。この中でやはり一つの部隊でそれを運用するということはかえって非効率だという判断ですので、当分の間は、今ある各管轄する警察署、自動車警ら隊、それから交通機動隊、こういった部分の連携を強めて対応していきたいと考えています。
 
 増員の関係ですが、これは自分の気持ちなのですが、ここ5年間だけを見ても50名の増員をいただきました。大変財政状況厳しい中で、県議会の理解もあってこういった結果が出ていると思います。これも効果として、最近の治安の状況が回復の兆しに向かっているという結果が出ると思いますが、今後の増員については、自分自身としてはやや慎重に考えたいと思っております。一つは今言いましたように現体制の中でやや治安の回復がはかられてきていること。しかも、県民の方々に対してはいろいろな要望をさせていただいて努力をしてもらっております。そういう中で、やはり慎重に考えるべきだという気持ちがありますし、それから一昨年、昨年と増員いただきました警察官、これは現実的にはまだ第一線の方では活躍できる時期まできていません。この50名の警察官が恐らく活躍してくるのが今年以降になります。したがって、そういった様子も少し見たいということ。さらには、警察OBなどを非常勤職員として、特にここ最近県議会の御理解をいただいてふやしてまいりました。こういったことで、警察力の向上も図っていただいているという点もある。また、他の公務員が大変削減されている中で、これ以上県財政に負担をかけるというのもどうかという気持ちもあります。ということで、しばらくは、特に本年はこの体制で精いっぱい頑張りたい。ちょっと表現は悪いのですが、サッカーでも11人対9人、10人であっても決して11人が勝つというわけではありません。状況から逸して、今県警は昨年も検挙率が全国第1位ということで大変士気が上がっています。こういった中だからこそ今1年間待っていただいて、もう1度今年1年頑張ろうという姿勢を持っていますので、ちょっと御覧いただいて、その後またひょっとすれば増員の方をお願いするかもわかりませんが、とりあえず今年は精いっぱい頑張りたいと思っております。