平成19年2月定例会代表質問(平成19年2月23日)No.4

2.県政の諸課題
<手話通訳者の養成について>

 
 昨年10月から施行されている障害者自立支援法には、聴覚、言語機能、音声機能、その他の障害のため意思表示を図ることに支障がある障害者等、その他の日常生活を営むのに障害がある障害者等につき、手話通訳等を行う者の派遣については、市町村が地域生活支援事業として行うように明記されました。このように明確に法定され、市町村がその窓口になったことにより、聴覚障害者を持つ方へのコミュニケーションの支援として手話通訳者の派遣を利用される方が増加していると聞いております。ついては市町村が行っている手話通訳者及び手話奉仕員の派遣状況、現時点での登録状況、さらに派遣ニーズに対する充足状況について知事にお伺いします。

 また障害者自立支援法では、専門的な人材育成は県の役割として位置づけられておりますが、手話通訳者の養成について、先ほどの派遣ニーズを踏まえ目標とされる育成人員と、どのような計画で育成されるのかあわせて知事にお伺いします。さらに手話奉仕員、要約筆記奉仕員についてもどのような計画で養成されていくのか、知事にお伺いします。

●知事答弁

  
 手話通訳者の派遣状況については、福祉保健部長の方から御答弁申し上げます。あわせて手話通訳者の養成、育成の計画などについても福祉保健部長の方から御答弁申し上げます。手話奉仕員の養成、手話奉仕員ですとか要約筆記奉仕に従事される方々の育成についても福祉保健部長の方から御答弁申し上げます。

●田中福祉保健部長答弁

 
 手話通訳の派遣状況ですけれども、聴覚障害者個人に対する手話通訳者、それから手話奉仕員の派遣は、自立支援法が本格施行される前の9月までは県が主にやっておりましたけれども、昨年の10月以降は各市町村が圏域ごとで、例えば県社会福祉協議会等に受託して実施しております。
 
 現時点での登録状況は、手話通訳者は法人に置かれている者が8人、それから県登録者が17人、手話奉仕員の登録者が27名あります。派遣状況、10月以降ですが、手話通訳者及び手話奉仕員の派遣件数というのはおおむね増加傾向にあります。市町村から受託している県社協などの事業者に対応ができてなかった者がなかったかどうかというのも確認したところ、18年、昨年の4月から今年の1月までですけれども、派遣依頼が2,238件ありましたけれども、このうち2件が受託法人で対応ができなかったということですが、実はこれについても他の法人の方で対応したということですので、派遣依頼については対応できていると考えております。

 手話通訳者の育成計画についてですが、手話通訳者というのはイベント等さまざまな場面で手話通訳が可能な高い技術を持った方です。今回派遣を受託している事業者に、登録手話通訳者の必要数というのを確認しましたところ、現在17名ですけれども、これと比べて少なくともあと20名ぐらいは登録者の追加が必要ではないかということでした。このことから、従来県の方で研修をやっていますけれども、19年度には研修会の回数をふやすとか、あるいは土日に開催するとか、それから既に手話奉仕員になっておられる方のフォローアップ研修をする。そういう見直しをして、より効果的な研修となるように、研修を充実していきたいと思っております。

 
手話奉仕員とか要約筆記奉仕員の育成についてです。自立支援法施行後ですけれども、手話通訳者の養成というのは県、それから手話奉仕員とか要約筆記奉仕員の養成は県と市町村がともにやるという役割分担が決められております。しかし、手話奉仕員とか要約筆記奉仕員についても、例えば手話奉仕員から手話通訳者へ一貫した養成が効果的になされること、それから単独の市町村ではなかなか指導者の確保が困難であると。特に、町村部においては単独での養成事業実施というのは、非常に効率が悪いと考えておりますので、県が主体となって養成しているというのが実態です。自立支援法の趣旨に基づき、聴覚障害者の社会参加ができるためには、手話通訳者ができる方がたくさんあることが必要です。県としましても、市町村と協力しながら手話奉仕員とか要約筆記奉仕員の人材育成の充実に努めていきたいと思っております。

<手話通訳者の養成について>2

 
 コミュニケーションをお手伝いできるボランティアレベルの手話奉仕員は、かなりの人が現実的にはおられるわけで、ただ手話通訳者になると研修を積み重ねることが必要であり、登録試験なども厳しいものだと聞いております。また地域的な、県内の場合バランスが、非常にアンバランスな部分である。西部は多いけれど東部は少ないとか。それからそういう手話通訳を教える指導者が少ないという課題も浮き彫りになっているのではないかと思っておりますけれども、県としては今後、手話奉仕員とまたその手話通訳者との住み分けをどのようにされていくのか知事にお伺いしたいと思います。
 
 それと現実的には社会人の方が他に仕事を持ちながら研修を受講し、手話通訳者になることは大変厳しいと思っております。そこで県内では鳥大とか環境大学、鳥取短期大学、米子高専と高等教育機関がたくさんあります。生徒の皆さんに手話とか要約筆記等に関するサークル活動に、県としても支援制度を設ける、そういう形をしながらでも障害者の問題について理解を深めていただくと同時に、学生の時から手話通訳者、手話奉仕員及び要約筆記奉仕員を養成することを検討したらいかがなものかと思いますけれども、知事の御所見をお伺いしたいと思います。

 

●知事答弁

 
 手話の問題については、基本的に福祉保健部長の方から御答弁申し上げますが、私はあえて申しますと、この手話とか、例えば手話奉仕員とか要約筆記奉仕員とか、どちらかというとボランティアに頼っている面が強いと思うのですけれども、本当にこの世の中で障害者の皆さんの日常生活の質の向上のために必要なものは、必ずしもボランティア頼みではなくて、やはりきちんとビジネスとして位置づけることも必要なのではないかと思うのです。

 介護などでちゃんと介護事業というものが認定されて、稼得を前提にしてサービス提供ということがもうできているわけですけれども、この種のその手話などについても適正な対価でもってサービスの提供を受けるという、そういう習慣が必要なのではないかと思うのです。ボランティア精神だけに、崇高なボランティア精神だけに頼って、それを前提にしながら人材の養成をしていくとか、サービスの提供を受けるというのは、どこかでやっぱり無理が生じると思います。ですから福祉の新しい体系の中に、これをどう位置づけるかということにもなると思いますけれども、必要なものはきちんと有償で対価を払ってサービスを調達をするということ、これを基本にすべきでないかと私などは思うのですけれども、これは私の考え方で、福祉保健部長の方から御答弁申し上げたいと思います。

 

●田中福祉保健部長答弁

 
 手話通訳者の手話通訳の派遣については、市町村が実施するものです。さまざまな場面で、手話通訳が可能な技術を有している手話通訳者を派遣するのを基本にされているということで、日常的な会話で高度な技術を要しないような場合については、日常会話程度の技術を有している手話奉仕員が派遣されていると聞いております。しかしながら、スケジュール等の都合により、手話通訳者が派遣できない場合とか大規模なイベントでたくさん必要な場合という場合には、やむを得ず手話通訳者の代わりに手話奉仕員が派遣されているということです。

 手話奉仕員の中には、国家資格である手話通訳士の資格を有したような高い技術を持った方もありますので、手話技術と登録制度というか、派遣制度が一致しないようなことがありますので、そういう登録制度の見直しというのが今度の課題だと考えております。

 学生の手話サークル活動への支援ということで、学生時代から手話に関心を持っていただくということは、非常に大事なことだと思っております。県内では鳥取大学とか鳥取短期大学とか倉吉看護学校とかYMCAの米子医療福祉専門学校等で手話活動をされているというのは聞いております。ただサークル活動というのは、学生の自主的な活動ですので、直ちに手話通訳者になっていただけるというものではないと思っておりますので公費による直接の支援ということではなくて、県が行う手話奉仕員の養成研修ですとか、要約筆記奉仕員養成研修の案内を送ったりとか、あるいは指導者の紹介について関係機関と連絡を取って適任者を紹介するというふうな対応をしていきたいと思っております。